〔土居昌弘議員登壇〕(拍手)
◆土居昌弘議員 12番、土居昌弘、ただいまから一般質問を始めます。
まず初めに、再犯防止の推進についてです。
今から5年ほど前、東京で厚生労働省の当時の村木厚子事務次官の話を伺い、その後、夕食をともにしました。そのときの話の内容は、刑務所出所後の出所者の暮らしの在り方でした。冤罪事件で164日間拘置所で生活した彼女は、官僚として支える立場から支えられる立場に一瞬にして転落した体験から、様々な示唆に富んだ話をしてくれました。
その中で、一番熱を込めて語っていたのが、再犯防止の話です。日本は再犯率が高く、彼女は刑務所の出入口は回転ドアです。出たらすぐに入ってきます。こう表現しました。
社会に居場所がない高齢者、障がいがある人、教育が十分でない人、そういった人々が犯罪を繰り返すケースが多いのです。
こういった問題を踏まえ、国は再犯防止推進法を制定、昨年度、国の再犯防止に関わる基本計画である再犯防止推進計画を閣議決定しました。
これにより、都道府県の再犯防止推進計画の策定に拍車がかかればと思っております。
本県では、昨年の第1回定例会、吉岡議員の一般質問に対する答弁で、県として再犯防止策を総合的、効果的に講じていく必要があるので、再犯防止推進計画の策定に向けて検討すると答弁をしております。
ただ、検討していただいているのは結構ですが、そろそろ結論を出していただきたいと思います。
今年の4月に自民党の国会議員、自民党県連役員に加え、県保護司会連合会会長、県保護観察所所長も一緒に知事のところにお伺いし、大分県再犯防止推進計画の策定をお願いし、更生保護サポートセンターの拡充や、保護司活動への支援強化、犯罪や非行をしたものの居場所と出番の確保のための支援拡充などを要望しました。
来月に強調月間を迎える社会を明るくする運動、これは犯罪、非行の防止と罪を犯した人の立ち直りに協力する活動です。県下それぞれの自治体でも、この運動の大会が開催されます。この大会で、県の再犯防止に向けた前向きな姿勢を報告できればと思っております。
県の再犯防止に向けた考えや方策をお示しください。
○井上伸史議長 ただいまの土居昌弘君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。
〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 土居昌弘議員から、再犯防止の推進について御質問をいただきました。
県内の刑法犯認知件数でございますが、平成16年から14年連続で減少しておりまして、平成29年の犯罪率は全国でも4番目に少ない良好な結果となっております。
しかしながら、検挙者に占める再犯者の割合、再犯者率でございますけれども、4割を超えている状況でございます。
だからこそ、犯罪や非行をした人に、二度と過ちを犯させないという、再犯防止の観点からの取組が大変重要だと思います。
社会に戻ってきても、その後の居場所や仕事がないために、再び犯罪や非行を引き起こすケースは少なくありません。これを防ぐためには、彼らが犯した罪を深く反省し、自ら社会復帰のための努力をして、責任ある社会の一員となれるように、その立ち直りを支援していく必要があります。
これまで県では、高齢又は障がいを有するため、矯正施設から退所した後、自立した生活を営むことが困難と認められるものに対しては、地域生活定着支援センターを設置して、福祉サービスの利用につなげるなど支援を行ってまいりました。
また、再犯防止に向け、保護司の活動を支援している大分県更生保護協会や、更生保護施設に対して補助を行うとともに、佐伯総合庁舎の附属棟の一部を、佐伯保護区の更生保護サポートセンターとして提供するなど、いろんな支援も行っているところであります。
御指摘の県の再犯防止推進計画につきましては、7月に保護観察所、弁護士会、保護司会などの民間ボランティアなどを構成メンバーとする協議会を立ち上げて、年度内の策定を目指してまいります。
策定にあたりましては、就労の確保、保健医療、福祉サービスの利用の促進、学校等と連携した就学支援などの分野を中心に、本県の実情に応じた内容となるよう検討してまいりたいと思います。
今後とも、保護観察所など国の機関や保護司、ボランティア団体と連携を図りながら、再犯防止をぜひ推進してまいりたいと考えております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
誰しも弱さ、つらさ、生きづらさがあるとき、若しくは放置されたとき、社会から排除されたときに、人は人の道を外す可能性があります。
さらにもっと不幸なことは、そういった自暴自棄になった人の被害者になってしまうことです。それを事前に防ぐことは大事です。
さきほど、知事から年度内に計画を策定したいという思い、いただきました。ありがとうございます。
これで、来月の社会を明るくする運動の大会でうれしい報告ができると思っております。
今年の竹田市のこの大会、私は残念ながら予定が入っておりまして出席できませんが、事務局の方に伝えておきたいと思います。また、更生保護の詳細につきましては、本日昼からの小嶋議員に譲りたいと思ってますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、障がい者の雇用促進について質問いたします。
昨年の6月1日現在で、全国の民間企業で働く障がい者は約49万6千人と14年連続で過去最高を更新しました。
障がいのある人たちの社会参加が広がっていることが分かります。
障害者雇用促進法の平成25年の改正により、今年4月からは障がい者の法定雇用率が2.2%に引き上げられるとともに、障がい者雇用義務の対象に精神障がい者が含まれることになりました。
ところが、人材採用などのサービスを提供しているエン・ジャパンの調査によれば、このことを知らない企業が全体の4割以上もあり、周知徹底をしなければならない事態になっています。また、さらに今回の改正で、新たに障がい者雇用が法定された従業員45.5人以上の企業に対しても周知が急務であります。
本県は、障がい者雇用率日本一を目指しています。しかしながら、本県の昨年の障がい者実雇用率は2.44%で全国5位と、前年の2.46%で全国3位だった順位を二つ下げています。このままではいけません。
特に、精神障がい者の就労が課題です。かつて、大分精神障害者就労推進ネットワークでは、精神に障がいがある方々にアンケート調査したところ、ほとんどの皆さんが働きたいという思いをもっていました。しかし、なかなか実現しません。
精神障がい者の問題も含め、県独自の障がい者に対する雇用促進の施策を実施して、障がい者の働ける社会を築いていってもらいたいと考えておりますが、県の見解を伺います。
○井上伸史議長 長谷尾福祉保健部長。
◎長谷尾雅通保健福祉部長 障がい者の雇用促進についてでございます。
県では、4月からの法定雇用率の引上げに先がけて、新たに障がい者の雇用義務が生じる74の事業所を含む県内全事業所に対して、2月1日付で知事と大分労働局長連名の通知を発しました。
法改正の周知を図り、障がい者の雇用促進を強く要請したところでございます。
障がい者雇用率日本一を目指す中、分野別では全国1位の身体障がい者対して、中位の精神と知的障がい者の雇用促進が議員御指摘のように課題であります。
今年度から、精神、知的障がい者の職場定着をサポートする指導員を社内に配置する企業に対しては、県単独の奨励金制度を創設して支援することとしております。
あわせて、指導員を配置しようとする企業に対し、障がい特性の理解や指導方法等の研修会を今月28日に開催することにしておりまして、定員30名を大きく上回る55名の申し込みいただいている状況でございます。
また、県内に6名いる雇用アドバイザーの活動により、就労につながった精神障がい者は、この4月、5月の2か月で、昨年比で2.3倍となる28名となっております。また、29年度にハローワークを通じて就職した精神障がい者も538名、前年比14.2%増となっておりまして、企業の採用意欲の高まりがうかがえるところでございます。
今後も労働局等と連携して、精神、知的を含めた障がい者の雇用増加に努めてまいります。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
雇用が進んでいるという実態が分かりましたし、企業側の取組もよく分かりました。
しかしながら、まだまだ知らない企業もございます。そういった企業の皆さんにどのように障がいを周知していくかというところなんですけども、今年の2月に国東で精神障がいを知るための国東フォーラムが開催されました。そこには、多くの企業の方々も参加しておりましたが、フォーラム後のアンケートを一つ紹介いたします。
ある企業の方がこう答えています。「会社の代表として初めて参加しましたが、もっと前にこの機会があったら参加したかったと思うぐらい、よいフォーラムでした。もっと、精神障がいに対して知識を得たいので、また機会がありましたらお知らせください」というアンケートを書いております。
このように、こういったフォーラムも私は有効ではないかなと思うんですが、県で市町村に対して、こういうフォーラムを開いてはとか、啓発を進めてはということを導いてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○井上伸史議長 長谷尾福祉保健部長。
◎長谷尾雅通保健福祉部長 精神障がい者の職場定着ということでございます。
県では、昨年度も企業の人事対象者を対象として、精神障がい者への理解を深めるための研修を3度開催しております。各回とも定員を上回る受講をいただいております。
大分労働局におきましても、企業の一般従業員に対して、同趣旨の研修を昨年度から実施しておりまして、こちらには519名が参加しております。
議員からさきほど御紹介いただきました国東フォーラムでございますけども、企業経営者も含めて、広く市民に対して精神障がい者の理解を深めようとするものと伺っております。
県におきましても、今年度障がいへの理解を深めるための出前講座を積極的に開催しておりまして、今後市町村にも働きかけて、県内各地で啓発を図っていきたいと考えております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
企業も重要ですけども、自治体自身も重要だと思います。当然、自治体にも雇用をする義務もありますので、自治体の姿勢が大事だと私は感じております。率先垂範です。
ところが、法定雇用率を満たしていない市町村が、昨年全国で273もありました。県下の自治体で、現在も法定雇用率を満たしてないところはいくつあるんでしょうか。
○井上伸史議長 長谷尾福祉保健部長。
◎長谷尾雅通保健福祉部長 この法定雇用率のデータというのは、毎年6月1日を基準にして年1回公表されております。
去年の6月1日時点で、昨年末に発表されたんですけども、県内市町村で杵築市が1名足りなかったということございましたけども、昨年の10月に解消しておりまして、県も含めて全ての自治体が達成をしているということでございます。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 杵築市が達成したことにより、全ての自治体がオーケーということです。
ただ、法定雇用率を満たしているのでいいというわけではないです。まだまだ工夫次第では、日本一の雇用を目指す大分県ですから、様々な施策はあると思います。
奈良県の県立病院では、多くの障がい者が県立病院で働いています。このような施策もあります。また、自治体では公共事業の入札や、契約や、物品販売で、法定雇用率を満たしているところには優遇措置を設けている自治体もございます。
こういった施策も研究しながら、日本一を目指していただきたいと思ってますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、社会福祉法人の自動車税減免について伺います。
私たち自由民主党の県議会議員は、次年度の県予算編成前に様々な民間団体との意見交換をし、そしてその団体の要望を受けます。その中で、社会福祉法人の一つの団体であります、大分県知的障害者施設協議会は、毎年のように同じ要望をしてこられます。それは、自動車税の課税免除に関する要望です。
県は、自動車税の課税免除を公平性の観点から、特に公益性の高いものに限って適用しています。
かつて、知的障害者授産施設と呼ばれていた協会の施設、様々なサービスを行っておりました。公益性の高い事業です。このときには、授産施設の自動車は全て課税免除でありました。しかしながら、平成18年度の障害者自立支援法の施行によって、この授産施設が行っていたサービスは、それぞれの事業ごとに分けられ、一部の事業が第2種社会福祉事業の就労移行支援や就労継続支援、生活介護などに分類されました。
これによって、これまで同じ知的障害者授産施設として活動し、自動車税が免除されていた施設が、免除される施設とそうでない施設に分かれてしまいました。
平成19年以降、本県では障がい者の就労を進めることを目的とした就労移行支援と就労継続支援のみを自動車税の課税免除の対象とし、残念ながら生活介護は課税免除の対象外としています。
しかし、九州各県を見てみますと、福岡県や佐賀県など、5県が生活介護も課税免除の対象としています。
本県においても、生活介護について、自動車税の課税免除の対象とすることを検討してみてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
○井上伸史議長 和田総務部長。
◎和田雅晴総務部長 社会福祉法人の自動車税減免についてお答えいたします。
本県におきましては、社会福祉事業の用に供する自動車にかかる自動車税につきましては、原則として社会福祉法人等の公益性が高い経営主体にしか認められていない第1種社会福祉事業についてのみ課税免除としているところでございます。
平成18年度の障害者自立支援法の施行により、第1種社会福祉事業の一部が第2種社会福祉事業へ移行することになりましたが、その際、就労移行支援事業と就労継続支援事業につきましては、支援法の重点項目の一つである、障がい者の就労促進を目的としたものであることなどを踏まえ、引き続き課税免除としたところでございます。
課税免除を行う場合には、租税の基本である公平の原則より優先すべき公益性があるのかどうか。政策効果と税の減収規模を比較してどうかといった観点から考えることが必要であります。
したがいまして、御指摘のありました生活介護事業を課税免除とすることにつきましては、既に第2種社会福祉事業のうち課税免除を講じている事業とのバランス、課税免除による影響額などという観点から、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
免税している九州5県を調べました。例えば、福岡県の回答を紹介しますが、かつて社会福祉法人等が所有し、第1種社会福祉事業の用に使用される自動車について、通達により減免を行っていた。しかし、障害者自立支援法の施行に伴い、身体障がい者等に関わる事業の一部が第2種社会福祉事業に区分されたことにより、事業の内容は変更しないにもかかわらず、減免の対象外となる事業者が生じることになった。そこで、新たに減免通達を行うことにより、従前の減免対象事業者を引き続き減免することとしたという回答をいただきました。
このように、同じ知的障がい者の授産施設があって法の改正によって事業が分かれた。しかしながら、障害者自立支援法の中にも附帯決議で福祉の後退がないように、地方自治体で優遇措置を設けてくださいという附帯決議もしております。ここをこの5県はくみ取っております。
ぜひ、大分県もくみ取って、さらに研究をして減免が実現することを願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、おおいた豊後牛のブランド戦略について質問いたします。
皆様御存じのとおり、昨年、おおいた豊後牛は、全国和牛能力共進会で、種牛日本一の栄冠を獲得いたしました。そこで、本県ではこの機を逃すことなく、関係者一丸となって県内外での売り込みを強化し、全国に向けて認知度向上に取り組んでいます。
特に、東京や大阪の大消費地においては、おおいた豊後牛の情報発信拠点として、サポーターショップを5店舗認定し、評判も上々だと聞いております。今年度は、これを倍増させる予定ということでもあり、期待をしているところでございます。
しかし、私は「牛は豊後が日本一」という看板に見合うような評価を全国的に受けてるかというと、まだまだ物足りなさを感じているところでもあります。
現在のリーディングブランドであるおおいた豊後牛「頂」とか、「豊味いの証」は浸透しているとは言い難いのではないかと思っております。
こうした中、県では全共日本一を契機に、クリエイターや流通関係者などで構成するブランド戦略会議を設置し、おおいた豊後牛の新たなリーディングブランドを立ち上げるとともに、PR事業を県内外で戦略的に展開することとしています。また一方では、過去に県産和牛のおおいた豊後牛としてブランド統一に尽力をされた関係者などからは、これからおおいた豊後牛という歴史と伝統あるブランドはどうなっていくのかと心配する声も聞かれます。
そこで質問です。新たなリーディングブランドをどう位置付け、どこにターゲットを絞って、どういう方向でブランド展開を考えているのか。今後のスケジュールも含め、知事の見解をお伺いします。
○井上伸史議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 おおいた豊後牛のブランド戦略について、御質問いただきました。
おおいた豊後牛につきましては、大正10年の畜産博覧会で一等賞に輝きまして、全国に名声を知らしめて以来、数々の栄えある実績をあげてまいりました。
昨年の全国和牛能力共進会では、内閣総理大臣賞を受賞しまして、この好成績を受けて現在、「牛は豊後が日本一」フェアなどPR強化に取り組んでいるところであります。
その結果、県内でのおおいた豊後牛の取扱い飲食店等は124店舗から210店舗まで増大しまして、着実に販売が拡大しております。
また、昨年度から都市部の情報発信拠点としてサポーターショップを展開しており、今後、関東圏での取組強化により、これまでの5店舗から10店舗へと倍増します。
他方、首都圏の20代から40代までの女性消費者約300名を対象としたアンケート調査では、93%の方が豊後牛を知らないと回答しております。また、県外のバイヤーなどからも、「豊の後の牛をどう読めばいいのか分からない」と指摘されるなど、残念ながら全国的に認知度不足の状況であります。
こうしたこともありまして、県外で流通しているおおいた豊後牛は、単なる国産和牛として売られている例も多く、有利販売に結びついていない実態もあります。
そこで、全共日本一を追い風に、例えば但馬牛の中の神戸ビーフのように、おおいた豊後牛を牽引する新たなリーディングブランドを立ち上げたいと思っております。
新ブランドは、赤身がおいしいというおおいた豊後牛の隠れた特徴も生かして、飼料用米の給与など、県独自基準を設けるとともに、消費者に分かりやすいネーミングで全国に通用するブランドにしたいと考えております。
現在、クリエイターや流通業者、生産者などからなる戦略会議におきまして、検討を進めているところであります。7月には、コンセプトなどを決定して、9月をめどに新ブランドを発表する予定であります。
その後、まずは大消費地でのイベントの開催や、SNSを活用した情報発信を行うとともに、高級飲食店やホテルなどへの売り込みを進めてまいります。また、量販店や大手飲料メーカー等の異業種とタイアップした販売戦略によって、取引先を確保し、流通拡大を図ります。
今年は大分の農協による肉用牛向けの飼料価格の引下げが予定されておりまして、生産、販売各分野における取組とあわせて、県が商標を取得することで、新ブランドの流通の裾野を広げるとともに、繁殖、肥育両面での生産拡大について、関係機関と一体となった取組を進めていきたいと考えております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
「牛は豊後が日本一」、この好機を生かして、今までにないPRを展開し、豊後牛を売り出していただきたいと願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、三重総合高校久住校の本校化について伺います。
県教育委員会は、先に県立三重総合高校久住校について、平成31年度からの本校化に向け、平成30年度第3回定例会に設置条例を提出する、また、平成31年度高校入学者選抜から久住校に全国募集を導入するという発表を行いました。
これにより、県内多くの農業関係者にとって、待望久しい農業系単独校が復活することとなりました。
この決定は、我が会派にとっても悲願であり、広瀬知事、工藤教育長をはじめ関係者の御英断に深く感謝申し上げます。
また、久住校関連では、現在、県により農業人材育成研修施設、くじゅうアグリ創生塾が、さらには竹田市により新たな学生寮の整備が進められています。
今回の本校化とあわせて、これらの施設を効果的に連携させることで、大分県を代表する農業地帯である豊肥地区農業のますますの飛躍、発展につながるものと大いに期待しております。
私も5月に開催された地元説明会に参加させていただきましたが、地域からは念願がかなった、ありがたい、ぜひそのまま進めてよという声があがるなど、誰もが今後の久住校の姿に大きな期待と関心を寄せています。
本日は、傍聴席に応援団の皆さんも来てくださっております。地域の期待を込めて、いくつか質問をいたしますので、ぜひ前向きで地域のやる気を引き出す御答弁をお願いいたします。
まず、久住校の魅力向上対策についてです。先に述べたとおり、久住校のある久住高原など、豊肥地域は日本一を獲得した豊後牛の生産や、スイートコーンなどの露地野菜、ハウスを活用したトマト栽培、特Aを獲得したおいしい米づくりなど、様々な分野で先進的な農業が行われています。まさに本県農業の中心地といっても過言ではありません。
しかしながら、本年度の久住校の入試結果を見てみますと、40名の定員に対して13名の入学者にとどまるなど、地域の期待とは裏腹に非常に厳しい現状にあることは否めません。
その一方で、先日公表された昨年度の本県の新規就農者数は、過去最高の237名となるなど、若者の就業先として農業の位置付けは近年着実に向上しており、いかにしてこのギャップを埋めていくか、これが大きな課題だと考えています。
先進的な農業を行うためには、広範な知識が必要です。普通科高校や総合系のコースで幅広い知識を学び、農業大学校等で専門分野のレベルを高めるといった考え方も否定はしませんが、例えば、ドイツにおけるマイスター制度など、職業訓練を行う仕組みがもう確立している国もあります。
今回、久住校は県内唯一の農業系単独校になります。つまり、本校の入学者は高校入学時から農業を志す子どもたちと言えます。そう考えると、やはり久住校では、県内のほかの農業系コースでは学習できない、実践的で専門的なカリキュラムを持ち、将来農業を志す子どもたちにとって、魅力的で目標となる学校にならなければならないと考えています。
そこで、カリキュラムや地域との連携等も含め、新たに本校化する久住校の魅力向上をどのように進めていくのか伺います。
○井上伸史議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 久住校の魅力向上対策について、お答えいたします。
施設園芸から畜産、酪農まで多様な経営形態が集積する地域の特色を生かして、経営マインドをもった力強い担い手や農業関連人材の育成につながるカリキュラムを編成したいと考えております。
新たな科目、チャレンジMy農場の授業では、地元農業法人や青年農業者などからの助言を得て、生徒が自ら栽培計画を立て、土作り、栽培、収穫、加工、販売までの全ての工程を通じて、実践的な農場経営を体験したり、県内で唯一有機JASの認証を取得しております校内の農場で生産した野菜などを用いたオリジナル商品の開発にも挑戦するなど、こういった活動を通じて農業人材に求められる高い創造性や経営力、実践力を養いたいと考えております。
さらに大学や企業、農業大学校との連携による研究活動を通して、農業系大学への進学者を増やし、進路選択の幅を広げたいと思っております。
先月開催した地域説明会では、久住校本校化に向けた地元の熱い思いを寄せていただきました。
小さな学校が独り立ちしていくには、厳しいことも多々あると思われますけれども、皆さんの御支援、御協力を得て、これからも地域と一体となって、魅力ある学校づくりを進めていければ大変ありがたいと思っているところであります。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
部活動にうし部があったり、さきほど答弁にもありましたとおり、有機JASを取ったり、JGAPを取ったりしている学校でございます。
ぜひとも今の長所を生かしながら、次世代の農業を担う人材を育成するための、魅力的なカリキュラムを持つ学校にしていただきたいと思ってますので、どうぞよろしくお願いします。
次に、入学者確保対策です。さきほど質問しました魅力づくりができたとしても、それをしっかり周知しなければ、入学者数の増加につながりません。加えて、久住校は県内で初めて全国募集するという手法を取り入れることになっており、PR面の強化は欠かせません。また、全国募集については、将来農業の担い手不足が予想される過疎地域における大変大きな一手になると期待しております。
その反面、県外から子どもを久住校に送り出す親御さんの気持ちを考えてみると、子どもたちの生活面や将来の就職など、やはり不安な面も多いと想定されます。こういった憂いを取り除く努力が必要だと思っております。
そこで、入学者の確保に向けて、今後県内外に久住校の魅力をどうやってPRしていくのか、県外からどのような、どれぐらい入学者を見込んでいるのか、あわせてお伺いします。
○井上伸史議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 久住校の入学者確保対策についてお答えいたします。
生徒募集については、県内生徒の進路保障を第一に考えて、その上で県外からも農業に意欲をもつ生徒を30%を上限に募集し、生徒同士が切磋琢磨する中で、担い手や農業関連の人材育成を図ってまいります。
県外入学者をはじめ、希望者に対しては、竹田市が校内隣接地に久住の山並みが一望できる3階建の学生寮を設置し、快適な生活環境が提供されることとなっております。
卒業後の進路を見据え、経営者や担い手を目指す農業経営実践コース、研究者などを目指すプロジェクト探求コースを設置し、個別指導も含めた支援を行ってまいります。
入学者確保に向けて、フレッシュな高原野菜の収穫体験ができるオープンキャンパスをはじめ、東京、大阪、福岡での移住説明会を利用した学校案内などを通して、久住の広大な草原の中、九州一高いところにある高校の魅力や、豊かな自然の中での清掃登山、野焼きなどの野外体験など、久住校ならではの特色ある取組を発信するとともに、農村回帰宣言の下、移住定住に力を入れている竹田市と協力して、一人でも多くの志願者を確保していきたいと考えております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
久住校の現状の生徒数を見てみますと、やはり、ここに相当な人力を払わなければならないと私は思っております。
例えば、久住校の魅力をPRしながら、生徒の募集をする専門員を付けたり、外部のコーディネーターを雇って、委託して、どこにどのように情報を発信したらいいのかとかいうところも考えてみてはどうかと思うんですけども、いかがでしょうか。
○井上伸史議長 工藤教育長。
◎工藤利明教育長 貴重な御提案ありがとうございます。
さきほど議員の質問にもありましたように、この9月で条例の議決をいただければ、いろんな動きが加速できると思っております。
人の問題というのは、なかなか難しい面もございますけれども、竹田市ともいろんな協力をしながら、ぜひこれを広く認知されるようにしたいと思っております。
いろんなことを調査しておりますけれども、全国でもやはりこういう思いで、農業系高校、全国公募しているところがございます。それぞれ見ますと、かなり苦戦をしている中でございます。やはり、しっかりと魅力を伝える、そういった中でネットワークといいますか、つながりをもち続けて、そして人を増やしていくということが大事かなと思っているところであります。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 よろしくお願いいたします。
次に、卒業生の就農促進対策について伺います。
久住校本校化後の入学者確保に向けて、カリキュラムやPRの充実は欠かせませんが、今後も安定的に入学者数を確保し、さらには定員増を目指していくためにも、久住校でしっかりと学んだ生徒たちが、その知識や経験を生かして、地域を支え、もうかる農業を実践していくことが何よりも大事です。
そこで、卒業生の就農促進に向けて、どんな対策をとっていこうとしているのか。農林水産部長の考えを伺います、また、久住校でこれまで以上に専門的、実践的な知識を学んだ学生が、さらに専門性を高めたいと考えた場合に、農業大学校の存在は欠かせません。久住校の本校化に向けて、農業大学校の在り方をどうするのか、具体的な連携策等をお聞かせください。
○井上伸史議長 中島農林水産部長。
◎中島英司農林水産部長 久住校卒業生の就農促進対策についてでございます。
次代を担う新たな担い手の確保、育成は、本県農林水産行政の最も重要な課題の一つであります。
久住校におきましても、卒業後、本県で就農、定着できるよう、在学中から学校現場と連携したきめ細かな取組を行っていきます。
親元就農や自営就農を目指す生徒へは、各種給付金制度の説明や、就農相談などの支援を行います。また、雇用就農を希望する生徒には、インターンシップ先の紹介や、県の就農相談会への参加の呼びかけなどを進めていきます。
議員御指摘の魅力的な農業大学校づくりにつきましては、専門的な技術の習得を志す生徒の期待に応えるためにも、大変大事なことだと考えております。
このため、アグリビジネスを学べる特別講座の開設や、グローバルGAPなどを学習可能な教育環境の充実を図っていきます。また、久住校との共同プロジェクトや農大の圃場等での体験研修、高校での出前講座など、実践的な農業はもとより、在学中から農大の授業にも直接触れる機会を提供していきたいと考えております。
引き続き、教育委員会とも連携し、久住校をしっかりとバックアップしてまいりたいと考えております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ぜひ、バックアップのほうをよろしくお願いいたします。
私も今年度、農林水産委員でありますので、様々な意見、交換させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
久住校は変わります。来年度が再スタートであります。ところがスタートが一番難しい。意識と力を集中させて臨まなければ、いいスタートは切れません。
私がここでいう意識と力というのは、単に教育委員会だけのものをいうのではなくて、県の農政や、また地元竹田市の意識や力が必要です。これを全て一つにして、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
しっかりとお互いで話し合い、一緒に策を練って、それぞれの意識と力を合わせ、最高のスタートを切っていただきたいと願ってますので、よろしくお願いいたします。
それでは、最後にオオルリシジミの保護について伺います。
今年のゴールデンウイークに、少し時間ができましたので、家族で久住山の麓にトレッキングに行きました。こう見えましても、私も運動するんであります。すがすがしい空気の中で、阿蘇五岳を背にして歩いていましたが、いつもと雰囲気が違います。レンタカーが至るところに停めてあり、大の大人たちが遠くで虫取り網を振り回しています。
不思議に思い、帰ってから調査を開始したのですが、2週間後に地質の観察会で久住に行き、地元の皆さんと話をして確信に至りました。虫取り網を振っていた人々は、オオルリシジミというチョウをとっていたのです。
オオルリシジミとは、絶滅危惧IAに指定される希少なチョウです。絶滅したと思われていた九州のオオルリシジミは、近年、その生息が大分と熊本で確認されました。
このことは、すばらしい発見でしたが、実は、チョウのコレクターにとってもおいしい話でありました。
熊本県では、このチョウを保護するために、無断で採取すると条例上罰則がある希少野生動植物に指定しています。しかしながら、大分県は希少種に指定しておらず、当然、罰則もありません。県は、希少なので採取は控えてもらいたいと願っている段階であります。
果たして、これでいいのでしょうか。
生息地の一つであります、久住のくじゅうオオルリシジミ保存会の村田会長は、希少種を残していくことの意義や、オオルリシジミを活用した教育や地域振興について、私に熱く語ってくれました。
守ることとつなげていくことの大切さ、保存会の皆さんは、このことをいつも思いながら、県にオオルリシジミの保護を積極的に取り組んでもらいたいと考えています。県の御見解を伺います。
○井上伸史議長 山本生活環境部長。
◎山本章子生活環境部長 オオルリシジミの保護について、お答えいたします。
県では、種の存続に支障を来す恐れがあり、特に保護が必要な種につきましては、大分県希少野生動植物の保護に関する条例に基づきまして、種を指定し、罰則規定を設けて捕獲などを禁止し、保護を図っているところでございます。
条例では、現在27種を指定しておりますが、オオルリシジミは指定をしておりません。
一方で、生物多様性の保全を図ることを目的に作成しております「レッドデータブック大分2011」の調査結果では、オオルリシジミは1970年代前半の久住高原での採取記録を最後に記録が途絶えていたが、近年は個体の発生が確認されているというところでございます。
そのため、ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種として、IAというカテゴリーに分類し、ホームページなどで保護の必要性を周知しているところでございます。
現在、2021年のレッドデータブック改定に向けて、生育状況等の調査を行っているところでございます。その結果を踏まえ、議員御指摘の状況とか、専門家の意見もお聞きし、条例に基づく希少野生動植物への指定など、保護の在り方について検討してまいりたいと考えております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
3年前、日本チョウ類保全協会会員であります、川野雅喜先生が県の生活環境部生活環境企画課に保護の提案をしたときの内容とあんまり変わりがない。そのときも研究してまいるということでしたので、前進……まあ中は知りません、内容は。内容は分かりませんが、答弁から判断しますと、余り前進した答弁ではないなと思っております。
本日は、川野日本チョウ類保全協会会員や、くじゅうオオルリシジミ保存会の村田会長も傍聴席にお見えでございます。
ぜひ、私たちも答弁を踏まえ、引き続き保全活動をしていきたいと考えております。
九重連山を舞う美しいオオルリシジミは、絶滅の危機にあります。人間のエゴで、コレクターの趣味で、この種をとざしてはなりません。その辺の思いはいかがなのか、県の見解を伺いたいと思います。
○井上伸史議長 山本生活環境部長。
◎山本章子生活環境部長 まず、条例で指定するにあたりましては、安定的なデータが必要だと考えております。
現在、そのデータについては、ちょっと決定には不足している状況でございますので、今現在行っておりますのは研究ではございませんで調査でございます。
4年間ほどかけまして、調査を行っておりますので、その中でしっかり情報を収集してまいりたいと考えております。
そして、そういう定量的な調査に加えて、やはり地元の皆さんたちの感覚的なものというのもあわせて必要だと考えているところでございます。
そういったものも踏まえて、条例に基づく希少野生動植物への指定など、またあわせて保護していかなければ何にもなりませんので、保護の方法などあわせて検討してまいりたいと考えております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
ただいま調査をしている段階だということでございます。ですし、また簡略的といいますか、地元の皆さんの思いも、願いも私は重要だと思っております。
ぜひともその辺もくみ取って、結論を出して保護していただきたいと願っております。
ここ大分の豊かな自然は、譲り受けたものではありません。子孫から借りているもの、インディアンの言葉がございますが、そのようにきっちりとした形で引き継いでいきたいと思ってますので、引き続き調査とよりよい結果が出るように思ってますが、いかがでしょうか。
○井上伸史議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 私も実は連休、久住のほうに行ってまいりまして、確かに網をもった大人が走り回っているのを拝見しまして、自分も網をもってくればよかったかなと思ったような次第でございました。まことに不勉強でございましたが、今、お話を承りますと、もう調査も4年を過ぎておりますので、直ちに結論を出したいと思っております。
○井上伸史議長 土居昌弘君。
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
地元の皆さんによい知らせが届くように、心から願って、私の一般質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)