平成30年 第4回定例会(12月)
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 皆さん、こんにちは。
自由民主党、土居昌弘、ただいまから一般質問を始めますが、まず初めに、国交省九州地方整備局は、昨日、中九州横断道路朝地-竹田間が来年1月19日開通すると発表しました。竹田市民の喜びの声が私のスマホにどんどん入ってきて、一緒に喜んだところでございます。ここで、改めて、知事はじめ、道路建設に携わりました全ての関係者に厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
これからは、竹田-阿蘇間の早期事業化に向け、竹田市民一丸となって求めてまいりますので、引き続き御尽力賜りますようお願い申し上げます。
それでは、最初の質問で土地改良施設の突発事故への対応について伺います。
県下の畑地帯においては、昭和40年代から生産性向上と農家所得の増大に向け、安定水源である農業用ダムや揚水機場、1千キロメートルを超えるパイプラインなど、畑地かんがい施設の整備が行われ、足腰の強い園芸産地が形成されてきました。その受益は6千ヘクタールを超えています。
しかしながら、この畑地かんがい施設は、整備後、長い年月がたち、施設の老朽化が著しく進んでおります。施設を維持管理する土地改良区では、パイプラインの破裂などの突発事故が過去3年間、平均で年およそ100か所も発生する事態になっております。
これまでの突発事故における緊急対応は、本県の指導により、国や県が造成した末端受益面積20ヘクタール以上の基幹水利施設については、事故対応工事費120万円以上を対象にした県営の基幹水利施設保全対策事業で、また、基幹水利施設に該当しないその他の水利施設については、事故対応工事費13万円以上を対象に、団体営の地域農業水利施設保全対策事業で行っています。
さらには、土地改良法の改正により平成30年度から、より迅速かつ機動的に復旧を行うことができる土地改良施設突発事故復旧事業が創設されましたが、事故対応工事費200万円以上が対象となっております。
つまり、これら現在の制度では、基幹水利施設については、工事費120万円以上が対象となっており、頻発する多くの突発事故が平均40万円程度であるため、この補助制度の対象外なのです。
そこで、伺います。県下の足腰の強い園芸産地を維持発展させるために、地域の土地改良区が頭を悩ます基幹水利施設の小規模な突発事故に迅速に対応できるように、補助制度を創設して土地改良区の運営を積極的に支援していただきたいと考えますが、知事の見解を伺います。
〔土居議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 ただいまの土居昌弘君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。
〔広瀬知事登壇〕
◎答弁 広瀬勝貞知事
◎広瀬勝貞知事 初めに、私からも、中九州横断道路朝地-竹田間の開通につきまして、心からお喜びを申し上げたいと存じます。
これまで竹田市の皆さん、あるいは豊後大野市の皆さん中心に、地元の皆さんが本当に一生懸命努力をしていただいたおかげでありまして、皆さんに敬意を表したいと思います。道路はつながってこそ価値があるものでございます。竹田から、今度は阿蘇まで、一日も早くつなげるようにまた努力を続けていかなきゃならないと思っております。よろしくお願い申し上げます。
さて、土地改良施設の突発事故への対応について御心配をいただきました。
人口減少や消費構造の変化、あるいはTPP11の年内発効など、農業を取り巻く環境が大きく変化する中、農業の構造改革を加速して、産地間競争に打ち勝つ体質に強化していくことは大変大事であります。
このため本県では、水田の畑地化による高収益作物の導入に取り組むとともに、畑地においても、農地集積やゾーニングといった再編整備による、大規模な園芸団地の育成を進めているところです。
こうした施策の推進には、その基盤となる土地改良施設の計画的な整備と適切な維持管理が何より重要です。
とりわけ、農作物に対して、適期、適切なかん水を行うためのパイプラインなどの農業水利施設は、園芸振興を図る上で欠くことのできないものであります。
しかし、県内の農業水利施設は、昭和40年代から50年代にかけて整備されたものが多くて、中でも県営事業等で整備されたパイプラインの約7割が耐用年数を超過するなど、老朽化が進んでおります。
このため、県では、地元負担を軽減し、整備、更新を促進するとともに、近年、老朽化により頻発している突発事故に対しても、一定規模以上のものについては支援してきたところです。
こうした中、土地改良区の皆さんからは、土地改良振興大会などの場において、支援制度の対象とならない小規模な突発事故が近年多く発生しており、営農や改良区の運営に影響が生じているといった実情をよくお聞きするようになりました。現に野津町土地改良区では、末端の小規模なパイプラインの突発的な破裂がたびたび起こって、農作物に被害が発生した事例があることも承知しております。
県としても、こうした現実に迅速かつ機動的な対応ができるように支援をしていく必要があると考えており、土地改良区の実態や他の事業との整合性等も勘案しながら、既存制度の拡充について、何か打つ手がないか検討してまいりたいと思っております。
今後とも、農家の方々が安心して農業を営むことができるように、農業水利施設の維持、保全をしっかりとサポートしてまいりたいと思います。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 知事、ありがとうございました。「検討してまいる」ということでございます。
私ども大野川上流地域の皆さんは、パイプラインが老朽化していて、やはり心配をしております。ぜひとも補助制度創設に向けて、検討を進めていっていただきたいと、私からお願い申し上げます。よろしくお願いします。
それでは、次の質問に入ります。子育て満足度日本一の実現について。
まずは、子ども・子育て支援について伺います。
子育て満足度日本一の実現に向けて、県ではこれまで結婚から妊娠、出産、育児まで、様々な支援に精力的に取り組んでこられました。保育所や放課後児童クラブの整備、保育士等などの確保をはじめ、高額な不妊治療に対する助成、子ども医療費助成や保育料の減免などの経済的負担の軽減、また、育児相談や一時預かりなど、身近な地域における子育て支援の充実など、多岐にわたっております。
特に今年度は出会いサポートセンターを創設し、結婚を希望する若者への後押しを始めており、登録者数は順調に伸びていると伺っております。また、先般、厚生労働省が都道府県別の本年4月1日時点の待機児童数を公表しましたが、大分県は13名と、昨年の505名から大幅に減少しているところです。
こうした取組の成果もあってか、本県の合計特殊出生率は全国平均の1.43を上回る1.6台まで回復しております。しかしながら、合計特殊出生率の高い九州内にあっては、福岡県に次いで2番目に低い水準となっており、出生数自体を見てみますと、若い女性の県外流出という要因もあると考えられますが、減少傾向が続いており、昨年は8,658人と、過去最低を更新しております。
昨年度に県が行った調査によると、理想の子どもの数は2.74人に対して、現実の子どもが数が2.23人と、ギャップがあるようです。この理想の実現を阻む主な理由として、まずあげられているのが、子育てや教育に係る経済的な負担です。これは、全国的な傾向であり、国は子育て世代、子どもたちに大胆に投資をすることで、全世代型の社会保障へ大きく転換していこうということで、先般、来年10月から3から5歳児の全ての子どもとゼロから2歳児の低所得者世帯の子どもを対象に、保育料を無償化する方針が閣議決定されました。
また、理想の子どもの数の実現を阻む理由として、自身の仕事や、パートナーの家事、育児への協力が得られないことなど、心理的、肉体的な負担も理由としてあげられております。男性の育児参画はもちろんのこと、職場の上司、同僚や隣近所の方も含め、社会全体で子どもたちの育ちを喜び、支援するという意識を醸成していくことが重要と考えられます。
これまでも様々な面で子育て支援の充実に取り組んできたにも関わらず、止まらない出生数の減少に何とか歯止めをかけていかなければなりません。今後県として、どのように子ども・子育て支援策を展開していかれるつもりなのか、自らを省みて、深く反省しながらですけれども、知事のお考えを伺います。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 広瀬知事。
◎答弁 広瀬勝貞知事
◎広瀬勝貞知事 子ども・子育て支援について御質問をいただきました。
大分県では子育て満足度日本一を目指して、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで、切れ目のない支援に国に先駆けて取り組んでまいりました。おかげで、平成28年の合計特殊出生率は1.65と、22年ぶりに1.6台まで回復し、全国順位も7位まで上がったところであります。
一方で、29年の出生数はどうかといいますと、8,658人と、9千人を初めて下回ったところであります。これは、若い世代が少ないことが主な原因ですけれども、高い未婚率や晩婚化の進行も考えられます。そこで、出会いサポートセンターを今年6月に開設して、現在893人の登録をいただいて、好評のうちにスタートしているところであります。
もう一つ、要因として、結婚した夫婦の子どもの数を表す有配偶出生率の低さが上げられます。公益財団法人1more Baby応援団の調査によると、既婚者の74.3%が出産に関して「2人目の壁」を感じており、その理由として、経済的な負担が最多で、次に、心理的な負担、仕事上の負担などがあげられております。
子ども・子育て応援県民会議でも、出産や子育てに係る経済的負担の軽減をはじめ、男性の育児参画など、仕事と子育ての両立支援を充実してほしいとの意見もいただいているところです。
このうち、経済的な負担の軽減策として、子ども医療費の助成や保育料減免のほか、不妊治療費助成を実施しており、これらは、全国でもトップレベルになっております。国でも来年10月から幼児教育、保育の無償化を目指しており、特に3歳以上の保育料は所得に関わらず無償化されます。こうした動きも踏まえ、県として2人目の壁を乗り越えるような具体策を考えていきたいと考えています。
また、仕事と子育ての両立支援としては、保育施設や幼児保育の整備とともに、女性のキャリア形成支援や男性の育児参画、イクボスの普及啓発など、女性が働きやすい職場環境づくりが不可欠であり、これも拡充していきたいと思います。
議員御指摘のとおり、昨今、地域のつながりが希薄化し、地域の子育て力が弱まっていると感じています。子育て家庭が抱える孤立感や不安感を和らげて、社会全体で子どもの成長の喜びを共有できるように、経験豊富なシニア世代など、地域住民みんなで子育てを支える体制を整えたいと考えています。
さらに、児童相談所の体制強化を図りつつ、里親やファミリーホームを拡充して、虐待を受けた児童など、特別な配慮が必要な子どもへのきめ細かな支援も行ってまいります。
子どもは大分県の未来を担う宝であります。子育て満足度日本一に向けて、市町村ともしっかり連携して取り組んでいきたいと思います。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
男性の育児の参画という、私には耳が痛いんですけれども、積極的に私のような者も参画できるような政策をつくって、押し上げていただければなと思います。社会で子どもを育てるというので、他孫育てという取組をやっているところもあります。他孫、他人の孫を育てるということで、そういう取組もありますので、ぜひ参考にしながら、子育ての環境を向上させていただきたいなと思っております。
次に、保育所の機能向上について伺います。
保育の質の向上を図るには、優秀な保育士を確保することが重要です。そこで、県では、特別な配慮を要する子への対応に関して、保護者や他の職員からの相談に応じたり、関係機関との橋渡しができたりするように、保育コーディネーターを養成しております。この研修事業は、保育の事業所の皆さんに大変好評で、研修を受講した保育コーディネーターの方々は、地域のそれぞれの施設で重要な役割を果たしております。私自身も高く評価しておりますが、この研修制度、今後も引き続き継続していただきたい、さらには、フォローアップ研修もしてもらいたいと考えておりますが、県の見解を伺います。
また、優秀な保育士へと成長するためには、様々な研修を受講しなければなりません。ところが、この研修も数多く、保育士の処遇改善等の加算による研修も加わり、現場の保育士の皆さんも大変苦慮をしているところです。慢性的な保育士不足の中、保育士が研修を受講できない状況もあります。
このような中、国は保育士の負担を軽減するため、保育補助者の雇上事業を実施しております。この事業の実施主体は市町村ですが、県の理解がなければ実施できません。本県でもこの保育補助者雇上強化事業を実施していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 発達障がいや虐待の疑い、また、生活困窮家庭など、特別な配慮が必要な児童や家庭に対して、早期に専門的な支援を行う保育コーディネーターは重要な役割を果たしております。平成26年度からこれまでに375名を認定して、今年度の認定予定者を加えると約500名となります。県内保育所等の約7割の園に配置できる見込みであります。
29年度から実施しているフォローアップ研修では、地域の子育て支援について、市町村や児童発達支援センター等の職員も交えて、具体的な事例研究を進めるなど、さらなる質の向上に努めております。より多くの園に保育コーディネーターを配置し、県内各地域の体制が充実するよう、引き続き研修を実施していきたいと考えております。
質の高い保育を実現するためには、研修の受講はもちろんのこと、保育士の負担軽減も重要です。今年度開催している保育現場の働き方改革研究会においても、保育補助者制度の導入に係る要望も大変強く、来年度の事業実施について、市町村とも連携しながら、前向きに検討したいと考えております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。引き続き検討と継続をよろしくお願いいたします。
次に、児童相談所の体制について伺います。
本県でも児童相談所に寄せられる相談件数は、全国と同様に増加しております。私は以前から児童相談所の相談体制の強化を求めてきましたが、今回、ここではそのことに絞って伺いたいと思います。
平成28年の児童福祉法改正によって、児童相談所強化プランでは、28年10月から段階的に児童福祉司の配置基準を見直し、経過措置期間をとった上で、平成31年度当初に見直し後の配置基準を満たすことが義務化されております。
そこで、伺います。平成30年度現在、県下にある二つ、中央児童相談所と中津児童相談所には、それぞれ何人の児童福祉司が配置され、それは国が示す平成31年度の配置基準を満たしているのか。また、その数値には、所長や次長や課長などの管理職やスーパーバイザーが含まれているのかどうかについて伺います。
さらに、中津児童相談所では、保健師が専属配置されず、中津児童相談所管内の三つの保健所の保健師が兼務保健師として配置されております。常勤ではなく、なぜ兼務配置なのか、これもあわせて伺います。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 今年度の児童相談所における児童福祉司の配置人数ですが、所長、次長、課長、あるいはスーパーバイザーである班総括を含めて、中央児童相談所で21人、中津児童相談所で8人の合計29人となっており、改正児童福祉法による基準を満たしております。また、来年度の配置基準は35人となっており、今後追加配置の上、体制をさらに強化したいと考えております。
次に、児童相談所の保健師についてです。
児童の健康、発達面に関する支援の充実を目的に配置しており、中央児童相談所では、一時保護児童の健康管理、保健指導のほか、感染症対策や乳児が委託された里親家庭への訪問などを行っております。一方、中津児童相談所は、一時保護所を設置しておらず、また、里親関係業務については、中央児童相談所で一元的に一括して取り扱っております。加えて、常勤の保健師を配置するだけの業務量も見込めない中で、管轄する中津市、宇佐市、豊後高田市、日田市の状況を把握している各保健所保健部の保健師の兼務で対応しているところです。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
児童福祉司とは、児童相談所運営指針にあるように、子どもや保護者などからの相談に応じ、業務を行うものとされております。所長や次長や課長がこれにあたるのかというか、これを含めていいのかという大きな問題がありますし、31年度からは、35人体制になります。現状、次長や課長を除いた、所長も除いた数を調べてみると、今年度は中央で20人、中津で6人ということになっております。まだまだ足りないと思っておりますし、業務の中で、緊急対応など、そういったケースもどんどん増えておりますし、今後介入の仕事も入ってくる流れもあります。こういったことで、この辺、しっかりと配置をお願いしたいと思います。
それから、保健師の件ですが、兼任ではそれぞれ所属の保健所の本来業務がメインとなって、現実的には迅速な対応が困難ではないかと推察します。乳幼児の虐待死の割合は高く、保護者や子どもの精神疾患への関わり、医療機関への連携、性教育など、児童相談所での保健師の役割は大きいと思っております。児童福祉法では、指導をつかさどる所員には、医師又は保健師を置くこととしており、今年3月30日の運営指針の改正については、1人以上置いてくれということで、国から都道府県に技術的助言がされております。これについて、どのように考えているのか、伺いたいと思います。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 三つほどあったと思います。まず、児童福祉司に所長とか次長を含めてよいかということです。
現場対応はいろいろありますけれども、所長、次長、あるいはスーパーバイザーというのは担当ケースは持っておりませんが、全ての事案について報告を受け、対応しているということです。したがって、現場のケースワーカー、児童福祉司がやっているわけですけれども、上司の適切な判断で動いているわけで、そういった知識をしっかり持った上司を置いているということで、これは不可欠な状況だと思っております。
また、緊急時とか、重大事案などによっては、こういったスーパーバイザー等がケースワーカーと一緒に直接現場に動くということを当然やっておりますので、そういった場面でも今の制度というのは、流れがちゃんとできているんでないかと思っております。
それと、来年度の確保につきましては、さきほど申し上げたとおり、確保できるように努めてまいりますし、そうしなければならないと思っております。
三つ目の保健師ですけれども、今答弁を申し上げたように、業務量はそこまでないんですが、各保健所で1名の保健師に兼務をかけております。来年度に向けて、これを複数兼務、要するに1人の保健師に兼務をかけるだけじゃなくて、一つの保健所で複数の保健師に兼務をかけて、柔軟な対応ができるように持っていきたいと思っております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
所長や次長は、当然不可欠な存在ではありますが、やはり現場に対応する児童福祉司、この数を何とかしていただきたいと思います。
保健師も幅広く、兼務体制を広げていきたいという答弁をいただきましたが、現場の仕事を再度チェックをして、どこに課題があるのかをしっかりつかんで、対応を考えていただきたいと思っております。私は保健師1名は本当に必要だと思っておりますので、ぜひともその実現ができるようにお願いをしたいと思っております。
児童福祉司に限らず、児童心理司もこれから数をそろえていかなければならないと思っておりますので、その辺もしっかりと検討していただきたいと思います。
さらには、中央児童相談所、中津児童相談所においては、こういう人員増を想定していない建物の中で仕事をしております。相談室が少なかったり、実際執務室も狭くなるんではないかなと思っておりますが、この辺については、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
P◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 中央児相はこの10年ほどで建て替えをして対応しているんですけど、執務室についてはいろいろと考慮の余地があるかと思っております。確かに中央児相、人数が増えてまいりますので、そこはまたしっかり対応してまいりたいと思っております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
中央は近年、1名児童福祉司が増員されておりますが、中津は平成17年から増員されておりません。今回、31年度に向けて、かなり見直しをしなければならないと思っておりますので、しっかりと見直して、そして今のニーズに合った児童相談所を築いていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、精神保健について伺います。
精神障がい者の退院促進と地域生活支援についてです。
精神障がい者が社会から隔離され、精神科病院で幽閉されていた時代は終わり、社会で一人の人間として生きていける時代を迎えようとしております。この時代の変革期に、ここ大分県の社会も変化していかなければなりません。
我が国の精神病床数は約35万床、入院患者数は約32万人。人口あたりの精神病床数は、諸外国においては、ここ数十年で病床削減や地域生活支援強化等の施策によって減少しているのに対し、我が国ではおおむね横ばいの状態です。
そこで伺います。まず、本県における近年の精神科の入院患者数と病床数の変化を、その間の県の取組とあわせてお答えください。また、県として、その現状をどのように認識し、今後どういった目標を掲げ、精神障がい者の退院を促進し、地域生活の支援を強化していくつもりなのか伺います。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 昨年6月30日現在で、県内の精神疾患入院患者数は4,745人、病床数は5,247床となっております。10年前と比較して、それぞれ8.2%、2.8%の減であります。
この間、県では、精神科病院の協力の下、長期入院者の退院促進事業を実施したほか、病院スタッフの研修会開催等により、退院支援のスキルアップに取り組んだところです。
また、地域生活支援に向けては、訪問支援の普及とあわせ、医療、福祉の連携が大切であり、事例検討会等を通じて、支援機関の理解促進と対応力向上を図ってまいりました。
しかしながら、入院後1年での退院率が平成28年は83%と、全国平均の89%より低く、今後はこれまで以上に精神障がい者一人一人の課題やニーズに応じた、地域における受皿づくりを進めていく必要があると考えております。
こうした中、今年度、保健所が主体となって精神障がい者の退院後支援制度が新たに創設されたところです。県でも支援マニュアルを早速作って、9月から8人に対し、この支援を行っております。
今後は、医療、地域、あるいは行政が一体となり、積極的に退院後支援の取組を進めていくことで、退院の促進と地域生活支援の強化を図っていきたいと考えております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
精神疾患のある方々が地域で暮らしていけるよう、今年度から保健所が中心になって支援をしていっている体制を伺いました。本当にありがとうございます。
これまで成果がなかったんですが、成果が少しずつ見えてきているようですので、何とぞよろしくお願いいたします。
あとは、医療面ですね。つまり、地域生活をしながら医療をどのように実現していくかということです。イタリアでは精神科病院がもうありませんでした。また、カンボジアでは精神科病院が少ないので、地域に出向いて治療をしている。シェムリアップのある村では、鎖につながれた若い女性の自宅に介入して、本人を治療し、家族や村の人に障がい理解を広めていって、今ではその当事者は村でちゃんと暮らしているということでございます。
今後はこのように、ACTやアウトリーチのように地域に出向いていって医療をする、これをどのように実現していくかということです。ここでは時間がございませんので、また質問していきたいと思います。ぜひともまたこの方向も御検討をお願いいたします。よろしくお願いします。
次に、精神科救急情報センターについてです。
今議会には、県立病院敷地内に開設予定の精神医療センターの本体工事契約の議案が上程されております。おかげさまで2020年の完成に向け、建設工事は着実に前進していますが、運営の在り方で現在も検討している事項があります。それは、県立精神科基本構想の中でうたわれている精神科救急情報センターと精神医療相談窓口との関係であります。
基本構想に盛り込まれた精神科救急情報センターについては、24時間365日の対応なので、そのことは高く評価しておりますが、問題点もあります。基本構想の中では、精神障がい者や家族からの医療相談を受けるのは、この精神科救急情報センターではなく、民間の精神科病院等が輪番制で担当する精神医療相談窓口であります。精神医療相談窓口がまず電話を受け、そこで緊急な医療が必要な人と、緊急性がない人とをトリアージして、緊急な医療が必要な人だけを精神科救急情報センターにつなぐということになっております。これが現在も検討されている内容でございます。
トリアージについては、入院が必要かどうかを判断する専門性が必要になります。また、緊急入院の必要はないと判断されても、受診につなげたり、明日までのしのぎ方を助言したりしなければなりません。つまり、その対応ができる人の確保が重要です。
輪番制で相談を受けるということになると、担当する多くの精神科病院全てで、これらの対応ができる充実した体制を整える必要があります。それだけの専門性と技術、時間、人員配置などを輪番制で担保できるのかということです。
そこで質問ですが、この問題を解決すべく関係者で検討を重ねていると聞いておりますが、現在の状況を教えてください。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 精神科救急情報センターということで御質問いただきました。
夜間休日における精神疾患のある方や家族等からの緊急な相談への対応では、まず、その相談を誰が受けるか、次に、受診の必要性をどう判断するか、そして、どの病院につなぐかという、三つの動きが重要になってまいります。そのため、医療機関や家族会及び行政からなる検討会に加えて、今年4月に、より専門的な検討を行うため、民間及び公立病院の精神科医6名によるワーキンググループを立ち上げたところです。
ワーキンググループでは、現在の精神医療相談窓口に、受診の必要性の判断を行い、受診先の病院を調整する機能を付加して、ワンストップで対応できる精神科救急情報センターを設置する方向で協議を進めております。
また、その運営については、夜間、休日における人員確保とか、そういったいろんな難点があり、診察の必要性の判断を統一的、専門的に行うノウハウも必要であります。このため、全国的に実績のある民間機関の活用を予定しております。
つなぎ先の病院については、急性期及び身体合併症患者等を受け入れる県立病院精神医療センターと民間の精神科病院が協力、連携して、患者が安心して受診できる体制を構築していきたいと考えております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
まず、相談をどこが受けるのかということで、一元化に向けて検討を進めているという答弁をいただきました。ありがとうございます。大変感謝いたしております。
この二重になっている構造ですね、おかしい、おかしいと言い続けてきました。それが一つになったということで喜ばしいんですけれども、問題はその人員の問題で、民間委託も検討しているということです。その民間で、しっかりとした体制が築けるようにしなければなりません。また、県の精神科の状況を、そこに知らせる必要もあるでしょう。
様々な問題があると思いますので、引き続き協議を続けていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
次に、最後の質問に入ります。地域で死ぬことについてです。
今年9月に、平成29年の人口動態調査の統計結果が公表されました。それによると、平成29年も大分県の自宅での死亡率が8.22%で、全国最低となっており、この状況がしばらく続いております。
私は、昨年の第3回定例会の一般質問でも指摘しましたが、病院は死ぬところではなく、治療を尽くして、地域に帰すところだと考えております。医療が高度化し、また、延命治療も進む中、どこで最期を迎えるかは、本人や家族の意向によるところが多いと思いますが、平成29年高齢社会白書によると、治る見込みがない病気になった場合、最期はどこで迎えたいかというアンケートに、自宅でと回答した割合が過半数を超える54.6%で、最も多くなっております。この結果から見ても、本心では住み慣れた地域で最期を迎えたいと思っていても、希望がかなわない状況が数多くあるということが分かります。
私は、こうした厳しい状況に目をそらすことなく、本県としても、地域で死ぬということにこれまで以上に真剣に向き合い、対策を講じていくべきだと考えます。住み慣れた地域で最期まで住み続けられる地域共生社会の実現に向け、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 本県の高齢化率は31.8%と、全国10位であることもあって、老人ホームの整備率が高い状況です。その老人ホームでの死亡率がさきほどの人口動態統計では10.2%、全国で5位となっております。
この統計では、自宅にはサービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどが含まれており、この整備が進んでいる都市部で自宅死亡率が高く出る傾向があります。ちなみに、1位は東京都で、自宅での死亡率は17.9%となっております。本県が8.2%です。また、病院での死亡率は、本県が70.0%で、全国で低いほうから7位です。これらのことから、本県では、老人ホームで亡くなる方が多い反面、病院や自宅での死亡率は全国と比べ低い状況となっております。
そうはいいましても、議員御指摘のように、本県の県民意識調査でも41%の方が自宅で人生の最期を迎えたいと回答したことも踏まえて、県としても看取りを含む在宅医療提供体制の充実は大変重要だと考えております。
このため、県が設置する医療・介護連携推進協議会等の意見も伺いながら、看護師等の人材育成や多職種の連携促進、また、フォーラムによる普及啓発等に取り組んでいるところです。この結果、在宅医療実施機関は、この5年間で12%増加して、347施設となりました。
今後も医療、介護関係者や地域の方々の支え合いで県民が住み慣れた地域で看取りまでできるよう、体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 ありがとうございました。
昨年の私の在宅医療と看取りの質問でも同様の論調で答弁いただきました。ですが、今年度を見ましても、目を見張るような取組というのはありません、残念ながら。フォーラムですね、去年開催して、今年も開催をするということになりましたけれども、これも当初予算から付いているものではないと伺っております。
病院で亡くなる人は実は少ないとおっしゃいますが、私はこのデータを見ても多いと思っております。病院は亡くなるところではないと思っております。介護施設で、介護施設に入りたくても入れない方々もいらっしゃいます。順番待ちの人もいますし、経済的に入れない人もいます。こういった方々を含めて、地域で暮らす人々が、その場で最期を迎えられるというところをどのように実現していくかというのは、私は大きな課題だと思うんですけれども、この辺については、どのように考えられますでしょうか。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 さきほど私が病院での死亡率は全国でも高くはないと申し上げた、これは率の話、相対的な話でございますので、そこは御理解いただきたいと思います。
本当の狭義の意味で、自宅で最期を迎えるという観点でいうと、やはり家族の状況とか、あるいは家の状況もあり、そういった様々な状況で、本当に御自宅で看取りまでいけるのかどうかというのが、議員から去年、御質問をいただきましたけれども、大変重要な要素になってきているんだと思います。
そういった意味で、私どもとしては、さきほど申し上げたように、看取りまでできるような体制整備について、できるだけのことを今やっているわけでありまして、今後もその着眼点を持ち、施策の組立てを進めていきたいと考えております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 現状は、例えば終末期の人々が救急車に乗せられ、運搬先を探して、一生懸命探して、病院に救急搬送されて、延命治療を受けて、寝たきりの状態ということも多くありません、残念ながら。これを、どうするかということです。
また、自宅で最期まで暮らしたいと思っていますけれども、皆さん、そのように思っていますが、現実、十分な医療が自宅で受けられるのかどうかという心配もございますし、在宅医療ではお金がかかるというような誤解もあります。ここをぜひ解いていっていただきたいと思っております。そのためには、やはり昨年も申し上げたとおり、啓発がまず先だと思っております。
福井県の坂井地区、ここは在宅医療の啓発活動を徹底しております。DVDや紙芝居などの学習コンテンツを開発したり、市民集会の開催、出前講座の開催などをして、地域住民への普及啓発をしております。
これを受講した市民の意識の変化を見てみますと、アンケート調査で在宅ケアを利用して暮らしていくためには、地域でどのようなサービスがあるとよいですかという問いに、講座を始めた頃は、リハビリやマッサージが受けられるサービスが欲しいとか、24時間訪問医療を受けたいとか、専門職を求める意見が目立っていましたが、今では認知症高齢者の定期訪問や見守りがあるといいとか、地域住民が集えるサロンを増やしてもらいたいとかの意見がほとんどで、地域で支え合う体制づくり、これを意識するものが多くなっております。
その結果、坂井地区医師会在宅ネット利用患者、この患者に限ってですけれども、在宅看取りの割合は5割にも6割にもなっております。
このような取組ができないか、啓発に真剣に取り組む。年に数回のフォーラムだけではなくて、こういう取組も必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 地域でのサロンとか、そういったものを使ってということで、確かにおっしゃるとおりだと思います。そのところも含めてよく検討していきたいと思います。
少しデータがありますけれども、在宅医療、さきほど私が医療機関について申し上げましたけれども、歯科診療のほうも、この5年間で実施数が160施設ということで、これは1.5倍になっておりますし、訪問診療を受けた患者数が5年前は3万2千人でしたが、今9万人おります。こういった形で、かなり在宅医療も、訪問診療も進めております。
また、もう一つ、こういった体制を支えるのが訪問看護ステーションですが、訪問看護ステーションについても、特に郡部においては距離が遠いといったこともあり、加算制度をさらに強化してくれという要望も厚労省には申し立てております。
そういうところをいろいろ含めながら、総合的に進めてまいりたいと思っております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 実際、在宅医療をしている先生方や歯科のドクターに話を聞いてみると、まだまだ物足りないと。もっと県が支援してもらいたいという要望、本当に切に伺っております。切なお願いを伺っているところでございます。
県の医療政策として、ここに焦点を当てた取組をぜひともやっていただきたい、こういった政策をつくる上で、有識者を含めて、皆さんで検討していただきたいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 長谷尾福祉保健部長。
◎答弁 長谷尾雅通福祉保健部長
◎長谷尾雅通福祉保健部長 さきほども申し上げたように、一つのプラットホームとして、医療・介護連携推進協議会がありますけれども、ここでの議論をさらに盛んにするような形で進めていければと思っております。
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 土居昌弘君。
◆質問 土居昌弘議員
◆土居昌弘議員 その協議会の内容などをいろいろ伺ってみると、それぞれの取組状況や地域での事例を発表するだけで、政策を組み上げていくというところまでまだ至っていない、物足りないということをドクターの先生からよく伺います。ぜひとも県として方向付けるような協議会にしていただきたいと思っていますので、さらなる充実を求めておきます。
また、さっきの福井県の坂井地区では、アドバンスケアプランニングといって、自分の終わり方をドクターや家族や皆さんと相談しながら作っていく。しかも、それをどんどん書き替えながらやっていく、こういう取組もやっているところがあります。こんな取組を参考にしながら、ぜひとも人生の最期をどこで迎えるかという問題、しっかりと考えていただければなと思っております。
私たちがもう忘れかけていますが、逝く力と看取る力、これを私たちは持っています。
命とは何かを周辺に伝えながら、最期を迎える。周囲はそのメッセージを受け取りながら、今後の生き方に生かしていく。この大事な場面を病院だけではなくて、自宅や高齢者の福祉施設で迎えられるように、選択肢を大分県民にどんどん与えていっていただきたいと願っているところでございます。
そして、私自身は、高度医療や救命救急が必要な人だけが病院で治療し、そして、多くの人は自宅などで自然の摂理に沿って生きていくというところが望ましいと思っております。
また今後も建設的な政策論争をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
本日は誠にありがとうございました。(拍手)
○議長 濱田洋副議長
○濱田洋副議長 以上で土居昌弘君の質問及び答弁は終わりました。桑原宏史君。
〔桑原議員登壇〕(拍手)