大分県議会活動

平成24年第4回定例会


2012年12月5日 本会議 一般質問

◆土居昌弘議員 おはようございます。二十番、土居昌弘。

 ただいまから一般質問を始めますが、まず、質問の冒頭に、お礼を申し上げたいと思います。それは、この夏の九州北部の水害についてです。

 大分県では、現在、被災したところの復旧工事に全力で取り組んでいただいております。また、去る十一月二十八日には、知事みずから中津、日田、玖珠、竹田を訪れて、復旧の現状と地元自治体の要望をしっかりと聞いて、今後の復旧、復興へつなげていこうとされております。

 私は、県民の暮らしの現場に目を向けた県のその真摯な姿勢に頭が下がります。深く深く感謝申し上げます。どうか今後ともその姿勢を大事にされまして、被災された地域の復旧、復興に当たっていただければと思っております。

 それでは、質問に入ります。

 まずは、肉用牛の振興についてです。

 五年に一度開催される日本最大の和牛の祭典、第十回全国和牛能力共進会が去る十月二十五日から二十九日まで長崎県で開催されました。五日間で約四十九万人の来場者が詰めかける中、全国三十八道府県から出品された代表牛四百八十頭が日本一の座を競いました。私たち大分県議会自由民主党・無所属の会でも駆けつけて熱い戦いを見守りました。審査の結果、宮崎県が九部門のうち五部門で一位となり、総合成績で前回の鳥取大会に続いて二連覇を果たしましたが、本県の代表牛も第一区と第五区で一等となり、農林水産大臣賞を獲得するとともに、出品した九部門のうち八部門で優等賞に入賞するなど、総合三位の好成績をおさめることができました。

 しかし、一方で、本県の肉用牛を取り巻く情勢は厳しさを増すばかりでございます。高齢化による飼養戸数の減少に加え、長引く景気の低迷で牛肉消費が落ち込み、卸売価格の下落は一向に回復の兆しが見えないのが現状です。これに追い打ちをかけるように、飼料代の高騰、さらにはBSE対策として実施してきた牛肉の輸入規制も緩和される方針が決定、今後、価格の安い輸入牛肉の増加で国内の卸売価格の下落がさらに進むことが懸念されます。

 今回の長崎大会での県勢の活躍は非常に喜ばしいことではありますが、上位入賞できなかった肉牛部門の課題はもとより、今大会の結果をこれからの肉用牛振興にしっかりと生かして、農家の経営安定につなげていく取り組みが重要であると考えます。

 そこで、今回の共進会の快挙を弾みとして肉用牛振興にどう取り組むのか、見解を伺います。

〔土居議員、対面演壇横の待機席へ移動〕

○元吉俊博副議長 ただいまの土居昌弘君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。

 〔広瀬知事登壇〕

◎広瀬勝貞知事 土居昌弘議員から肉用牛の振興についてご質問を賜りました。

 全国和牛能力共進会では、全九部門中二部門で優等賞一席の農林水産大臣賞を獲得しまして、総合でも、宮崎県、鹿児島県に次いで、三位のすばらしい成績をおさめることができました。宮崎県や鹿児島県とは飼養頭数に格段の差がある中で、大健闘だと思います。出品者や関係者のご努力に対しまして、改めて敬意を表したいと思います。五年後の宮城大会では、ぜひとも日本一を目指していただきたいと思います。

 県といたしましては、今回の成果を豊後牛のブランド力向上や産地の活性化につなげていくことが大事であるというふうに考えます。そのためには、これまで取り組みの弱かった川下の流通対策を強化するとともに、川上の生産対策を加速する必要がありまして、次の三点の対策を柱に肉用牛の振興を図っていきたいというふうに考えております。

 第一に、流通対策であります。

 県内のホテル、旅館、飲食店等の取り扱い認定店は十九年の六十五店舗から百八十七店舗まで拡大しましたけれども、これらの店にさえ豊後牛を安定的に提供できていないことが課題でありまして、流通量、品質、価格面で取り扱い店のニーズにこたえられるように、食肉業者や関係団体と一体となって供給体制を見直さなければならないと考えております。

 大阪南港市場におきましても、この五年間で出荷頭数が四百四十二頭から七百三十二頭にふえましたけれども、まだまだ少ないと言われておりまして、流通関係者からのさまざまな意見を取り入れた産地づくりを進めて、出荷量の拡大に努めたいと思います。

 また、牛肉に対する嗜好も変化していることから、うまみ成分であるオレイン酸を新たな売りにした販路拡大にも取り組みたいと思います。

 さらに、先月、香港で始まりました「大分フェア」では、海外で初めて豊後牛を提供しました。経済成長著しい東南アジア等への輸出に取り組むことで、新たな販路開拓につなげていきたいと考えております。

 第二は、肥育対策であります。

 市場ニーズに対応するためには、十分な出荷量と安定した品質の確保が必要であります。そのため、牛舎等の施設整備や肥育牛の増頭を支援するとともに、農家への技術指導を徹底して肉質の向上に努めます。あわせて、オレイン酸含量を高める肥育技術の普及にも取り組みたいと思います。

 第三は、繁殖対策であります。

 市場性の高い子牛の生産をふやすために高能力雌牛の導入を支援するとともに、耕作放棄地等を活用した放牧や飼料稲など自給飼料の利用を推進しまして低コスト生産による繁殖基盤の拡大を図ります。

 また、生産者の期待をいただいておりました但馬系種雄牛の「光星号」が今度の共進会で高い評価を得たところでもありまして、引き続き優秀な種雄牛の造成に力を入れまして、子牛市場の活性化を図りたいというふうに思っております。

 こうしたさまざまな取り組みによりまして、生産者や関係団体と一体となって豊後牛のブランド化を推進していきたいというふうに考えております。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 流通対策、肥育対策、繁殖対策ということで答弁いただきました。

 私は、今後の大分県の畜産政策を考えた場合、肉質を全国に誇れる豊後牛、これを確立するということが大切ではないかと思っております。繁殖対策でございます。例えば、種牛の造成のあり方の問題、よく農家の方から、県は生産者の意見を聞きながら造成してよと強く望まれております。畜産研究所が研究のための研究になっていて、農家のための研究所になっていないという辛らつな意見までいただきます。研究所のデビュー前の種牛、待機牛の表を見ても、つける気にならないとおっしゃいます。市場性に乏しいというのが皆さんの評価でございます。

 そこで再質問いたしますが、市場性のある種雄牛を造成していく、これをどのようにして造成していくのか、この観点に絞って、畜産行政の方向を伺います。

○元吉俊博副議長 阿部農林水産部長。

◎阿部良秀農林水産部長

お答えをいたします。

 種雄牛の造成ということで、これは非常に重要な課題であるわけでございますけれども、これは県内外から優秀な繁殖雌牛を、例えばドナー牛として購入いたしまして、そして受精卵移植技術を活用した種雄牛の造成、そういった取り組みもやっぱり必要ではないかというふうに思っております。

 これについては、やはり畜産研究部を中心に、効率的な手法について現在検討を重ねているところでございまして、これは当然、先ほどご指摘にもございましたように、生産者の皆さんが本当に使いやすいということが何よりも肝心でございますから、生産者の皆様方のご意見を十分お聞きした上で、生産者、そして農業団体、行政、一体となって取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 その姿勢を忘れずに取り組んでいただければと思います。

 十一月二十八日の日本農業新聞に十月の全農の全国四十三市場の子牛取引結果が出ていましたが、一頭当たりの平均価格は、玖珠市場、豊肥市場ともに、もちろん全国平均以下でございます。

 今、大分県では、もうかる農業を実践しています。ぜひとも畜産分野にもこのもうかるという経営的視点を取り入れて、これまでの県の縛りをほどいて、政策を結い直し、再構築して、もうかる畜産を目指してほしいです。そして、畜産農家の方々を笑顔にしていただきたいと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。

 次に、障害者の工賃向上に向けた取り組みについてお伺いします。

 本県では、平成二十年三月に大分県障害者工賃倍増五カ年計画を作成し、障害者福祉施設での工賃の向上に取り組んできました。計画の平成二十三年度の目標は、一人当たりの平均工賃月額二万七千円。これは、実現の可能性を勘案し、平成十八年度の平均工賃月額一万三千四百八十九円の約二倍と設定したものです。ところが、平成二十三年度の平均工賃月額の実績は一万四千四百六十二円と、平成十八年度のわずか七%の増加にとどまりました。これを県の施策評価では、一万四千四百六十二円を目標額二万七千円で割った五三・六%もあったと成果指標で示していますが、本来は、わずか七%の達成率であったと猛省すべきだと思います。

 平成二十五年四月から障害者優先調達推進法が施行され、官公需の優先的発注や公契約の競争参加資格に法定雇用率を満たしていることを条件にするなど障害者の工賃向上に向けた追い風が吹いています。

 そこで、県のしっかりとしたサポートをお願いするとともに、障害者の工賃向上に向けた県の見解をお伺いします。

○元吉俊博副議長 永松福祉保健部長。

◎永松悟福祉保健部長 障害者の工賃向上についてお答えいたします。

 障害者が自立した生活を送るためには、工賃水準の向上を図ることが必要でございます。そのため、工賃倍増五カ年計画に基づく取り組みを進めてまいりましたが、残念ながら計画の達成状況は著しく不十分との評価になりました。

 事業所の多くが小規模であり、商品開発や販路開拓などのノウハウが乏しく、まとまった受注が難しいなどの課題がございます。このため、今年度新たに三年間を期間とする工賃向上計画を策定し、企業的経営手法導入のためのアドバイザー派遣や営業ノウハウを学ぶ研修の実施、さらには共同受注できる仕組みづくりを進め、事業所の工賃向上の取り組みをしっかりサポートしてまいります。

 また、今回、決算特別委員会審査報告書の意見や議員のご指摘も踏まえ、障害者優先調達推進法の施行を機に、官公需の一層の拡大を市町村や国の機関に働きかけるとともに、公契約の入札参加資格について障害者就労施設等からの調達を要件にするなど、事業所の受注機会を拡大するため、法律を最大限活用してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 新たに計画を始めるということで、これまでの反省を踏まえて、どの作業に力を入れるのかとか、アドバイスを受ける際に、その心構えと準備とか、例えば工賃向上の成功事例集をつくるとか、こういう取り組みもやっていただければと思います。

 そこで、ここでは二点に絞って県の考え方を再度伺いたいと思います。

 まずは、県とか市町村からの発注についてです。

 県下の障害者施設からは、今年度も地元の自治体から仕事をいただけないという声をよく聞きます。県では施設への仕事の発注が増加しているようですが、その姿勢が県下の市町村まで広く伝わっていないんではないかと危惧しております。これをどのようにして伝えていくのか。そして、仕事をどのようにして掘り起こしていくのか。これについて、まず一つお伺いします。

 もう一つは、障害者施設の仕事は、あくまでも福祉的就労だということです。ここが賃金向上に向けた取り組みをすることによって、福祉の世界の負担になるおそれがあると思います。例えば、竹田市にある「やまなみ」では、二十二年度の平均工賃は一人一万三千五百三十一円。そこで、計画に沿って仕事をふやしました。ふやした仕事は施設外就労、主なものは草刈りです。農家の方々が休んでいる真夏の日中も草刈りをいたしました。頑張って、平成二十三年度の工賃は一万八千五百八十四円までなりました。ところがです。精神を患って通っている皆さんが、過労のため心身ともに疲れ果ててしまって、体調を崩されました。皆さんからは、もっと話や相談をする時間が欲しいという声が上がりました。それを受けて「やまなみ」は、今年度は、賃金向上に関する加算金が減ることも覚悟の上で草刈りを減らしております。賃金向上計画、これでいいのかどうかです。この辺を県はどのように整理されているのか、お伺いします。

○元吉俊博副議長 永松福祉保健部長。

◎永松悟福祉保健部長 まず、官公需の拡大についてでございます。

 先ほど答弁しましたとおり、来年の四月から施行されます障害者優先調達法によりまして、県や市町村は物品や役務の調達目標を定めた方針を作成し、実績を公表することが義務づけられております。これを契機に、発注の少ない市町村に成果の上がっている事例などを紹介し、視察等に出向いていただくよう働きかけるなど、官公需の発注促進に向け、県といたしましてもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 それから二点目でございますが、工賃向上の取り組みの対象となります就労継続支援B型事業所、旧授産施設でございますが、企業などで一般就労が難しい障害のある方に生産活動の場を提供し、就労に必要な知識や能力向上を図るための訓練及び生活支援を行う事業所でございます。このため、B型事業所におきましては、障害のある人の一人一人の作業適性や意向を大事にするとともに、日々の体調に最大限の配慮をすることが何よりも大切だと考えております。その上で、計画的に生産活動の機会を提供して工賃向上を目指すことが必要であると考えております。やはり、基本的には、そこで通所される方のニーズに適切に対応する、その上で工賃向上を目指していく。順番としてはそういうことだというふうに考えております。

 以上でございます。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございます。

 例えば、経営のアドバイザーの方が全く福祉の世界はわからないということでは困りますので、しっかりと勉強されて、それぞれの施設に行っていただければと思います。

 いずれにしましても、この計画は問題が幾つもあります。就労支援B型と生活訓練に取り組んでいる事業所は、生活訓練の方々をB型に移行しなければなりません。つまり、より重度な方々も一緒にして平均工賃は計算されると思います。これで平均工賃上げようというのはちょっと難しいんではないかと思いますし、そして、さまざまな問題が行き着くところは、工賃を上げることが果たしてより豊かな生き方に結びつくと言えるかどうかということです。生きがいや働くというのは、単に貨幣価値に交換できないと私は考えています。工賃が低かろうと、その人にとってはとうとい仕事もあります。そもそも工賃倍増をうたって小手先の施策で何とかしようとする国もおかしいんですけれども、この根本のところを再度考えてみる必要もあるようです。その辺のもやもやが残ったままですが、今後も議論を重ねながら曇りを晴らしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、本県では、児童福祉法に基づく児童養護施設や生活保護法に基づく救護施設、また、老人福祉法に基づく養護老人ホーム、さらには、障害者自立支援法に基づく障害者自立支援施設など社会福祉施設を経営する法人に対する自動車税を免除するとともに、障害福祉サービス事業のうち就労移行支援事業及び就労継続支援事業を行う社会福祉法人に対する自動車税を免除しています、現状。社会福祉施設については、社会福祉法人に限らず、施設を経営する法人であれば免除することになっていますが、障害福祉サービス事業については、社会福祉法人に限って免除するということになっています。つまり、社会福祉法人と同じサービスをするNPO法人は免除されません。

 長期総合計画においても、NPOとの協働を推進する本県です。社会福祉法人と同じ障害福祉サービス事業を行うNPO法人に対する自動車税も免除すべきだと思います。九州各県においても、既に福岡県、宮崎県、鹿児島県がNPO法人に対する自動車税を免除している例もあります。この辺の見解をお伺いします。

○元吉俊博副議長 奥塚総務部長。

◎奥塚正典総務部長 社会福祉法人等に対する自動車税の課税免除についてお答えをいたします。

 本制度は、原則といたしまして社会福祉法人が経営する第一種社会福祉事業の高い公益性に着目をいたしまして、昭和四十九年度に創設をされたものであります。

 その後、平成十八年度の障害者自立支援法の施行によりまして、それまで第一種社会福祉事業として授産施設で行われていたものが、就労移行支援事業や就労継続支援事業といたしまして第二種社会福祉事業に位置づけられたため、本県ではこれまでとの均衡から、この事業を社会福祉法人が経営する場合に限って、引き続き課税免除の対象としているものでございます。

 課税免除につきましては、もとより、その運用に当たって、まずは公平性の原則にのっとり、また、政策効果と税の減収規模との比較などを含めまして、慎重な検討が必要と考えております。

 障害福祉サービス事業は、人員や設備など一定の基準を満たしますと営利法人、非営利法人ともに事業への参入が可能でありまして、また、事業の種別、内容も多岐にわたっております。

 仮に障害福祉サービス事業を課税免除とする場合には、NPO法人を含めまして、どこまでの経営主体を対象とするのか、また、どの範囲の事業を対象とするのかについての検討が必要であります。しっかりと研究してまいりたいと考えております。

 以上であります。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 研究してまいるということですので、ぜひいい方向に結果が出ればと思っております。

 私は、県が、例えばNPOの応援基金をつくるという話も聞いておりますが、県政の首尾一貫性がちょっと欠如しているんじゃないかと感じています。私たちの暮らす公共を支えてくれるNPO法人、これが社会福祉法人と同じサービスをしているのに、県税の優遇措置がないというか、公益性が高いと認められないというのは、ちょっと不思議な感じもいたしますので、ぜひともご検討をお願いいたします。

 次に、民生委員の配置についてお伺いします。

 民生委員は、生活困難者の相談に乗り、必要な支援につなぎ、行政や社協などと連携しながら、個人と地域の福祉の向上に取り組む行政委嘱のボランティアでございます。

 私の知り合いの民生委員さんも、毎日と言っていいほど、受け持たれた地域の方を訪ね回っています。しかし、受け持たれている地域が広く、大変苦労されています。知らない人のところまで出かけて行って相談を行っているということです。そして、その方が、私が民生委員をやっているために住民に迷惑をかけているんではないかと悩んでもいました。私は、この話を聞いて、地域の実情に応じて民生委員を柔軟に配置する必要があるんではないかと考えています。

 住民が安心して地域で暮らしていけるためにも、身近な場所で人々の生活を支える民生委員はとても重要であります。しかしながら、民生委員の定数は世帯数で決められています。

 そこで、平成二十五年十二月一日に民生委員が一斉改選されますが、地域の世帯が減少し、担当する地域が広範、広域にわたる場合に、定数を増員していただきたいと思うのですが、ご見解をお聞かせください。

○元吉俊博副議長 永松福祉保健部長。

◎永松悟福祉保健部長 民生委員の配置についてお答えいたします。

 民生委員の配置は、市町村ごとの世帯数に応じて、国が定める基準に基づき、県が地域の実情を踏まえ、決定しております。その定数は、中核市である大分市を除き、千八百六十五人でありまして、一人当たりの受け持ち世帯数は、九州で一番少なく、国の基準内でもあることから、増員は考えておりません。しかしながら、高齢化や過疎化の進展に伴い、ひとり暮らし高齢者の見守り、災害時要援護者の避難支援、子育て家庭の孤立防止など民生委員に期待される役割は増加しております。このため、担当地域が広範囲にわたる場合や担当する世帯数の差が大きい場合には、民生委員協議会による調整が必要であると考えております。

 県といたしましては、民生委員の負担を軽減するため、市町村社会福祉協議会、地域包括支援センターなど関係機関とのネットワークづくりや地域ケア会議等の充実強化に市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 地域ケアを高めるために連携を深めていくということも大事ですが、やはり民生委員は地域にとっては大切な方々です。近年では、災害が起こるたびにその役目が追加されるという民生委員、過疎・高齢化社会を迎える地域では、その役割はさらに重大です。しかしながら、例えば竹田市です。竹田市では、選定基準を国の基準の一番低い百二十にしています。しかし、過疎化が進むため、平成十九年度の改選で姥岳地区が四名から三人になりました。二十二年度の改選で入田地区が四名から三名になりました。そして、このままなら、二十五年度に竹田市南部か北部で、また一名の減という予定です。法的に補充ができないのであれば、県として何とかこの辺を見ていただきたい。同等の役目を持つボランティアを配置するなどして加勢をしていただきたいと思っていますが、この辺をしっかりと検討していって、地域の福祉向上のためにご尽力いただければと思っております。

 次に、大蘇ダムについてです。

 大蘇ダムについては、知事は、本県議会の提案理由説明で「一定の方向性が見出されたことから、農業用水の供給を心待ちにしている農家の皆さんの思いをしっかりと受けとめ、国営事業に伴う新たな県負担について受け入れたい」と述べられました。県も県負担を含む対策内容について十分検討してきたと思いますが、今回の知事の表明は、まさに大蘇ダムの一日でも早い完成を待ち望んでいた地元の思いを踏まえたものであり、私の思いも全く同じでございます。

 また、昨年五月の渇水時において大蘇ダムからハウス等へ水の供給ができたことや、本年の竹田市を襲った豪雨災害においても、水路等取水施設が被災する中、早急に大蘇ダムからの補水を行い、営農を行うことができたことなど、改めて大蘇ダム用水の必要性を認識しているところでもございます。

 一方、国営事業の実施となれば、もう一つの受益地は熊本県です。熊本においては、「受益面積について見直しをしたい」とか、「現状の大蘇ダムのままでよい」という意見があると聞いています。

 つきましては、このような熊本県の状況を踏まえ、県として負担を受け入れるに至った経緯を説明していただくとともに、今後の大蘇ダム対策を踏まえた竹田地域の農業振興についてどう考えているのか、お伺いします。

○元吉俊博副議長 広瀬知事。

◎広瀬勝貞知事 私はこれまで大蘇ダム対策工事につきましては、国の責任で実施していただきたいというふうに申し上げてきたところですけれども、国の方からは、「これまでの経緯だとか、あるいは国の財政状況等を考えると、国営事業以外での対応は難しい」という話があったところです。国営事業ということになりますと、今度は追加負担が県の方に生じるわけでございまして、私もその点でいろいろ思い悩んだところですけれども、特に次の三つの点について検討して判断をしたところであります。

 一つ目は、国がダムの早期完成の方向性を示すということであります。

 去る九月十八日でございますけれども、私は、郡司農林水産大臣と面談いたしました際に、大臣の方から、早期完成に向け、前向きな回答をいただいたところであります。

 二点目は、対策工事の工法についてでございまして、十分検証しなければならないというふうに考えております。

 国との協議に加えまして、県独自で技術的検証を行って、耐久性等を確認したところであります。この耐水性、耐久性が実は今度の問題の発端でございましたので、そういった意味で、ここのところの技術的な検証も十分に我々としても行う、できるだけのことをやってきたということであります。

 三点目は、将来の維持管理費についてでございます。

 これが少なくとも増加しないように考えてもらわなきゃいかぬというふうに思っております。国からは、施設等の見直しによりまして農家負担は増加しないという旨の回答がありまして、これらのことから、一定の方向性を見出すことができたかなというふうに考えて、今回の判断に至ったものであります。

 他方で、現状のダム機能では計画水量の約四五%しか供給することができないということから、国の立ち会いのもとで、熊本県と今後の対策工事の必要性について協議をしたところでございます。熊本県の方は、「現状のダム機能の範囲内で受益面積を調整する。だから、対策工事の実施はもう望まない」というお話でありました。

 県といたしましては、地元農家の皆さんが一日でも早く安心して農業に取り組むことが何よりも大事であるというふうに考えておりまして、本県の必要水量の確保のために、国の提示するダム全面の対策工事とそれに伴う県負担の受け入れを最終的に判断したということであります。

 今後の竹田地域の農業振興についてでありますけれども、ダム完成によりまして潤沢な水を生かした農業を展開することが可能となるわけでございます。これが地域の皆さんが何よりも望んでいたところでございます。

 畑については、主力作物であるトマトの産地拡大等に加えまして、キャベツなど露地野菜の計画的な栽培が可能となりまして、県内最大の高原野菜の適地としてのメリットを十分に発揮できるようになると思います。

 また、水田は、慢性的な水不足が改善されまして、水管理労力の軽減によりまして担い手への農地集積が図れるようになると思います。

 こうした取り組みは、地域の農業経営の安定に資するとともに、後継者の育成だとか、あるいは企業誘致にもつながることから、大蘇ダムの完成は、竹田地域の農業振興はもとより、本県の農業、農村の発展にも大きく寄与するものというふうに確信をしているところであります。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 本当にありがとうございました。

 受益者の皆さんが切望していた明るい未来が近づいた感がします。深く感謝いたします。しかし、このダムが完成しますと竹田市の負担が生じてきます。

 そこで、完成後の維持管理に関する竹田市の負担軽減策、これを県はどのように対応していくのかについてお伺いします。

○元吉俊博副議長 広瀬知事。

◎広瀬勝貞知事 おっしゃるとおり、対策工事とともに、完成後の維持管理も重要な課題だというふうに思います。特に大蘇ダムにつきましては、受益地が大分と熊本、二県にまたがること、火山灰地での難しい工事となること、これがあったもんですからこれまで時間がかかったわけでございますから、火山灰地での難しい工事となるということもよく考えていかなきゃならないということで、そういったことから維持管理については特別な技術的な配慮がしばらくの間は要るんじゃないかということで考えております。このために、郡司農林水産大臣と面談いたしました際に、大蘇ダムを国が直轄管理するようにお願いをしてきたところであります。

 国直轄管理に向けては、今後、国において管理内容や受益面積等多岐にわたる検討が必要となりますけれども、国直轄管理ということができれば、竹田市を含めて維持管理に係る地方負担の軽減が図られるということになりますので、県としても引き続き国の方に要望していきたいというふうに考えております。

 今、そのことについて直接判断をする時期ではないと思いますけれども、時間をかけて粘り強く要望していきたいというふうに考えておるところであります。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ぜひとも、竹田市と県とが一緒になって、負担軽減策を国に引き続き要望していただければと思います。何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、中九州自動車道の整備についてお伺いします。

 先月、大分、熊本両県の知事並びに議長がそろって国土交通省に中九州自動車道の早期整備に向けた要望活動を行っていただきました。そのことに対して、地元住民は大きな期待を寄せています。と申しますのも、これまで熊本が余り乗り気じゃなかったんではないかというような気配を感じておりますので、熊本県知事も広瀬知事と一緒になってというところに期待をしている次第でございます。

 そこで、中九州自動車道の早期完成に向けた県の今後の見解を伺います。

○元吉俊博副議長 畔津土木建築部長。

◎畔津義彦土木建築部長 お答えいたします。

 中九州横断道路は、大分、熊本の県庁所在地を結び、両県の連携を促進するとともに、沿線市町村の活性化を支援する重要な道路でございます。また、大規模災害の際には九州を東西に結ぶ緊急輸送道路としての役割を担うことから、一日も早い整備が求められております。このため、県といたしましては、現在事業中の大野-竹田間の早期完成と竹田-県境間の事業化に向けた区間指定を国にお願いしてまいりました。

 こうした中、七月の九州北部豪雨によりまして阿蘇市滝室坂付近で国道五七号が被災し、通行どめにより社会生活へ大きな影響が生じました。これを受けまして、十一月には、滝室坂付近に中九州横断道路にも活用可能な形で災害に強い道路を整備するよう、大分、熊本両県知事と議長によりまして国へ合同要望をいたしました。これが事業化されますと、県境付近の整備に弾みがつくものと期待をいたしておるところでございます。

 今後は、沿線市町村や熊本県との連携をさらに深めながら、中九州横断道路の整備促進に向け、国へ強く働きかけてまいります。

 以上でございます。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 大分県並びに熊本県、連携を深めて、引き続き要望のほど、よろしくお願いします。

 十一月二十日には、大分、熊本両県の関係自治体で構成する中九州地域高規格道路期成会も財務省に予算確保の要望をしております。早く竹田まで、そして荻に、それから熊本へというのが私たちの願いでございます。引き続きましてご尽力のほど、何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、中山間地域の高校の活性化についてお伺いします。

 竹田市には、竹田高校と三重総合高校久住校の二校の県立高校がございますが、少子化が進む中、定員はどんどん少なくなっています。少子化がさらに進んでいけば、将来的には学校の存続が危ぶまれることになり、地域の力、元気もなくなっていくんじゃないかと市民の皆さんは不安を抱いております。

 島根県では、平成二十二年度入学生から離島や中山間地域の高校で県外からの入学生を積極的に受け入れており、隠岐島前高校では平成二十四年度の入学生のうち県外生が二十一人ということであります。

 本県においても中山間地域の高校に県外からの入学生を受け入れてはどうかと思いますが、見解を伺います。

 特に、久住校には、定員三十七人の男子寮と定員十二人の女子寮もあります。受け入れ体制も既に整っていると私は思いますが、いかがでしょうか。

○元吉俊博副議長 野中教育長。

◎野中信孝教育長 お答えします。

 島根県立隠岐島前高校で見られる県外生の受け入れは、地元自治体による寮費の半額助成や島民による県外生の身元引き受け制度、大学進学を支援する公営の学習塾設立など、全島挙げた協力体制によって行われているものと認識をしております。

 一般的に、中山間地域の高校が生徒を全国公募する場合、このように、県外生が親元から離れた土地で安心して暮らし、学べる環境が必要不可欠であります。

 議員ご提案の久住校においても、寮の維持管理や運営体制の整備、また、生徒の身元引き受けとなる地元住民の協力などの課題もあり、現時点で県外生の受け入れは考えておりません。

 今後とも久住校が、地域特性を生かし、畜産を中心とした農業教育に力を入れ、米や野菜の生産なども総合的に学ぶ学校として充実発展していくよう努力してまいりたいと考えております。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 では、一つ質問いたします。

 久住校の件は、また今後も検討を続けて、さまざまある課題をどのようにして乗り越えていくのかというところで知恵を絞っていただきたいと思いますし、私も頑張っていきたいと思います。

 質問は、竹田高校についてです。県外の生徒の県内高校への志願要項についてお伺いします。

 県の条件では、基本的に県内に家族と住んでいないと県内の高校は受験できません。ただし、中津市と日田市は、福岡県との関係が密なため、隣接する県外地域の取り決めで、福岡県の隣接中学校から県外者の志願手続なしで大分県の隣接高校を受験できます。しかし、豊肥地区にはその制度がございません。竹田は、昔から熊本と交流がありました。竹田高校にも、昭和五十年ごろまで、産山や波野、小国から生徒が来ております。

 そこで、今ある県外からの入学生徒を緩和できないのか。県外からの生徒受け入れ、それを決めている要項を緩和できないのかということについてお伺いします。

○元吉俊博副議長 野中教育長。

◎野中信孝教育長 確かに、中津と日田地域について、県外からの生徒を一定程度受け入れております。これ、例えば中津に関して言いますれば、歴史的に豊前の藩ということで、中津とその隣接の町村が一体的な社会、あるいは経済的な状況の中で形成されたものでございます。

 私の方といたしましては、県内の高等学校というのは、基本的に大分県の子供たちのためにあるというふうに考えております。そういう意味で例外的な措置ということでございまして、現在のところ、豊肥地区について、県外生の子供を受け入れるという考えはございません。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 実は、竹田市、十月一日現在で、中学三年生、来年、高校一年生、その数が百八十七人です。今の中二、再来年の高校入学生が百三十人です。過疎・少子化が深刻で、死活問題でございます。昨日の一般質問の問題と同じでございます。しかしながら、その流れに抗して、竹田市で受ける高校教育というすばらしい環境を後世の人にも残していきたいという思いもございます。

 熊本県教育委員会では、県立高校の定員五%以内なら要件なしに県外からの生徒を受け入れています。例えば、荻の緑ケ丘中学校、ここからは、毎年と言っていいほど阿蘇の高校に進学する生徒もいます。しかしながら、熊本と隣接する豊肥地区には、熊本の生徒を呼べません。ここに不公平感を感じているのも現状でございます。また、熊本と同じ条件を豊肥地区に設定することで、豊肥地区内のそれぞれの学校の特色が強調され、個性ある学校づくりが可能になるんではないかと思っていますが、この辺について、ちょっとお伺いします。

○元吉俊博副議長 野中教育長。

◎野中信孝教育長 現在、原則として、県外からの受験につきましては、審査をして許可をするという手続をとっておりますけれども、その中で一番重要視しておりますのは、子供が学ぶということだけではなくて、生活という面できちんとサポートできるかということでございます。したがって、県外から本県の学校を受ける場合に、保護者の転居等を原則としております。そういった面もありまして、今の時点で県外からの受験、そして県外から竹田高校に入ってくるのを直ちに検討すべきという段階ではないというふうに思っております。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 引き続きまして議論させていただきたいと思います。

 次に、県立美術館について質問いたします。

 現在、平成二十七年度の開館に向けて、いいちこ総合文化センターと呼ばれる県立総合文化センターの向かいに県立美術館の整備が進められています。そこで、隣接する県立総合文化センターとあわせて県の芸術文化の拠点づくりを行うために県芸術文化ゾーン創造委員会が八月に設置され、十一月十七日の第三回委員会終了後には中間答申が県に提出されました。

 委員会の中では、両施設を拠点に、県内各地の美術館、また、アート拠点、県内の文化ホール、県内市町村などとネットワークづくりが必要であること、また、芸術には、文化的な価値だけではなく、社会的、経済的な価値を持つ必要があることなどが議論されたと聞いております。

 こうした取り組みを行うためには美術館と文化センターとを芸術文化ゾーンとして同一の主体が管理することが必要であり、県全体の総合的な文化振興を行うため、財団法人大分県文化スポーツ振興財団が指定管理者として管理することが望ましいと言っております。しかし、指定管理については、知事が以前、「管理者に任せっきりになる」という答弁をいたしております。「そういうおそれがある」と述べております。

 そこで、中間答申を受けての知事のお考えをお聞かせください。

○元吉俊博副議長 広瀬知事。

◎広瀬勝貞知事

八月に大分県芸術文化ゾーン創造委員会を設置いたしまして、県立美術館と総合文化センターが連携した企画運営の展開及び両施設が連携するための組織、管理体制について諮問をしたところであります。

 芸術文化に関しまして深い知見のある委員の皆さん方から多岐にわたって含蓄のあるご意見をいただいて、県としての責任の大きさに身の引き締まる思いがしたところであります。来年の二月に最終答申をいただくということで、楽しみにしております。

 私はかねてより、芸術文化活動は教育やまちづくりなど他の分野の活性化に大きな役割を果たすものと考えておりましたけれども、委員会の議論を聞く中で、芸術文化には、その活動を通して、子供たちが地域に誇りと愛着を感じるようになったり、あるいは高齢者の方々が生きがいを持つようになるなど社会的な価値があること、また、観光面での新たな需要や地場産品の付加価値の創出という経済的な価値があることを再認識したところであります。

 委員会では、企画運営に関しましては、美術と音楽、演劇、舞踊などさまざまなジャンルの芸術文化を融合することで人々に新たな発見、感動を与える事業の実施だとか、あるいは医療・福祉、教育、産業など多様な分野との幅広い連携を進める必要があるといったようなこと、さらには、そのための組織、管理体制は一体的なものですべきであるというようなご意見をいただいております。

 先月開催されました第三回委員会で、県の平成二十五年度の組織改正等に反映できるように、組織、管理体制について中間答申をいただきました。県直営と民間委託の両方の強みを生かしながら県と連携して両施設を一体的に管理運営していくために、大分県文化スポーツ振興財団の体制を強化した上で指定管理者とすることが望ましいという答申内容になっております。

 これまで財団は、文化ホールの管理運営に加えまして、各種の自主文化事業にも取り組んでまいりました。しかし、今後、美術館を含めて、委員会の求める事業や幅広い分野との連携などに取り組むには、現在の組織や事業を抜本的に見直す必要があるだろうというふうに考えておりまして、県としましても、財団の機能、体制の強化にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

 その上で、今回の中間答申を真摯に受けとめまして、美術館及び総合文化センターの両施設について、このように見直し、強化された財団を管理者として指定するとともに、県としましても、文化を活用して医療・福祉、教育、産業など諸課題に対応することを重要政策として位置づけまして、財団と一体となって本県の芸術文化振興を図っていきたいと考えております。

 決して財団に任せっきりにならないように、財団と一体となって芸術文化の振興を図っていく、そういう県側の体制づくりもやっていかなければならないというふうに考えているところであります。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 美術館と文化センター、組織、管理体制を一体的なものにしていこうということと、県は、財団と一体となって、責任持ってかかわっていくということがわかりました。

 もう少し聞きたいと思います。

 ならば、美術館の設置条例は新たに制定するのでしょうか。それとも、総合文化センター設置条例を改正して、その中に美術館部門を盛り込むのでしょうか。そのあたりをお聞かせください。

○元吉俊博副議長 広瀬知事。

◎広瀬勝貞知事 まだ最終的にどういう形になるかでございますけれども、今、私考えておりますのは、施設としては、美術館は、今、県立の総合文化センターがありますけれども、それと違ったもう一つの施設ができるということでございますから、施設としては単独の施設であるということで、条例の制定を考えていかなければならないかなと考えております。

 もちろん、管理につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、一体的にやるということが必要だと思いますけれども、施設としてはそういうことになるということで、それを一体的に一つの条例で定めるのか、別々でやるのかというあたりについては、これから技術的にちょっと検討することになるだろうと思います。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 中間答申にありますように、両方の施設がビジョンを共有し、連携しながら、県全体の芸術文化の拠点となる、このことを目指してどの方がいいのか、ご検討していただければと思います。

 では、その条例上の美術館の名称です。

 九月議会の田中議員の質問には、知事は、年内には案を固めたいと答弁されましたが、固まったでしょうか。

○元吉俊博副議長 広瀬知事。

◎広瀬勝貞知事 前回の議会で、美術館の名称につきましては、大分県と美術館という言葉を入れまして、大分県立美術館か、あるいは大分県美術館か、どちらかではないかというふうに、そこまでは申し上げたと思います。

 その後でございますけれども、芸術文化ゾーン創造委員会で委員の皆さん方から、指定管理の場合でも、設置者として県が組織を支え、責任をとるという姿勢を示すべきであるという意見をいただいておりますので、そういう意味では大分県立ということの方がわかりやすいかなというふうに思っております。

 また、一体的な組織管理が必要だとされておりますもう一方の文化ゾーンの方は大分県立総合文化センターというふうになっておりますから、それとの整合性を考えても、やっぱり大分県立という方が有利かなということで、今、条例上では、大分県立美術館というふうにしたいというふうに考えております。この前の宿題のお返しでございます。

 また、県民の皆さんに親しみを持って呼んでいただけるような愛称についても、今後考えていきたいというふうに考えております。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 県の責任を示すために、大分県立美術館ということでございます。普遍的な名称、オールドスタイル・イズ・ベストではないということですか。これから愛称を募集したり、ネーミングライツとかも考えられますので、検討していただければと思うんですが、県民の美術館らしい親しみやすい名称がいいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、現在、別府市、国東市、竹田市においてもアートを使ったまちづくりの取り組みが行われております。今後、県下各地に広がっていくのを楽しみにしておりますが、また、商店街とも一体となった取り組みもございます。

 そこで、芸術文化ゾーンと地元の商店街がどのような連携を行うのか、お伺いします。

○元吉俊博副議長 塩川企画振興部長。

◎塩川也寸志企画振興部長 芸術文化ゾーンと商店街との連携についてお答えいたします。

 文化施設が近隣商店街等と連携し、地域経済の活性化やまちづくりに貢献することは大変大事なことだと思っております。そこで、本年七月からは、大分市中心部の商店街を県民のアートで彩る「まちなかアートギャラリー」を実施しているところです。また、九月には、総合文化センターの公演に合わせて、公演チラシを商店街の協力店舗に持ち込めば割引サービスを受けられる取り組みなど、連携の試行を行ったところです。

 今後、総合文化センターでは、十二月十八日から二十四日までの一週間、「ハートオブクリスマス二〇一二」と題して、近隣商店街や県内公立文化施設等と連携し、アートや音楽、ダンス、演劇等のイベントを開催することとしております。商店街からは二十五店舗が参加予定となっておりまして、多少PR不足に終わった九月の試行時の反省も踏まえ、各所にイベントプログラムを配布するなど、来場者を商店街に誘客する取り組みを行うことといたしております。

 こうした取り組みを契機として、芸術文化などのイベントにおける連携を、大分市内だけではなく、県内各地の商店街、あるいは地域に広げたいと考えております。

 以上でございます。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 大分市の中心市街地に県立美術館を新たに建てるということの意味の一つに、私は、そこに新しい暮らし方を提案できる可能性があるんではないか、そう考えています。街に開かれている美術館です。街で過ごす、街で買い物をする、街で食事をする、実にさまざまな街での暮らし方に芸術文化を絡めていく。それは、先ほど答弁いただきましたようなイベントや商品の割引だけではなくて、商店街の個店、また、街角や通り、その魅力づくりに発展していく可能性があります。そして、その空間で過ごせる豊かなひととき、これを創造し、提供することができるのです。頑張っていただきたいと思います。

 さらに、美術館建設に当たっての街全体の経済効果を高めるために、美術館の駐車場については、来館者については一定時間無料や割引料金にするなどのサービスを行い、周辺の商店街への回遊性を高めるべきだと考えますが、見解をお伺いします。

○元吉俊博副議長 塩川企画振興部長。

◎塩川也寸志企画振興部長 美術館、あるいはその周辺の駐車場に関するご質問にお答えいたします。

 大分市内中心部に立地いたします今度の新美術館にとっては、来館者の周辺商店街等への回遊性を高めることは大変大切な役割だと考えております。このため、周辺商店街と連携を図りながら、展覧会等の美術館の事業と連動したアートイベント等を実施し、街のにぎわいづくりにも取り組むことが必要だと考えております。

 美術館駐車場の割引などのサービスにつきましては、現在のいいちこ総合文化センターの駐車場の利用の形、それから近隣の民間駐車場との均衡も考慮した上で検討することといたしたいと思います。

 また、駐車場利用者の商店街への回遊性を高める取り組みの一例として、現在、総合文化センターでは、駐車場利用者が周辺商店街で買い物をすれば駐車料の割引が受けられる商店街の共通駐車場制度に参加しております。

 今後、周辺商店街、あるいは駐車場の関係者とも話し合いながら、どういった取り組みができるのか、検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

○元吉俊博副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 私は、町中に投資して駐車場を確保するということは、新しい暮らし方を提案すること、そのことの後押しになると考えていますし、さらに割引を実施することでその実現性は高まると考えています。そして、そのことは街全体の経済効果を高めます。私は、これこそが行政の仕事だと感じています。

 県立図書館は三時間無料です。町中にある長崎県美術館の駐車場も割引がございます。ぜひともそういう駐車場の割引を活用して、県民が芸術文化に親しみやすい環境を築いていただきたいと思っています。そして、大分県の誇る文化芸術ゾーンのある街をつくり、県民生活に浸透させていっていただきたい。

 私たちが豊かな県民に育っていくために、県民の創造性をはぐくみ、その表現力を高めていくために、そして、ヨーゼフ・ボイスの言葉ではないですが、すべての県民がある意味で特別な芸術家だと胸を張って言える大分県になるようご尽力していただきたい、そう願いまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

(拍手)