大分県議会活動

平成27年第2回定例会


2015年7月22日 本会議 一般質問
  

〔土居議員登壇〕(拍手)

◆土居昌弘議員 おはようございます。九番、自由民主党、土居昌弘、ただいまから一般質問を始めます。

 まず、玉来ダムについてです。

 この季節になると、竹田市民は三十年余りの間に三度も受けた大水害の経験が脳裏をよぎり、不安な日々を過ごします。

 昭和五十七年と平成二年の大水害を契機に、平成三年に竹田水害緊急治水ダム建設事業が採択され、その後、やっと二十二年に稲葉ダムが完成。地元では、次は玉来ダムをと心待ちにしていたさなか、当時の民主党政権によるダムによらない治水への政策転換のあおりを受け、検証対象となった玉来ダムの建設は約二年間の足どめを余儀なくされました。

 こうした中、二十四年七月の九州北部豪雨では、稲葉川流域は河川氾濫等の被害がほとんどなく、ダムの完成による治水効果がはっきりとあらわれる結果となりました。一方のダムのない玉来川流域ではとうとい人命が失われ、浸水家屋二百十七戸、浸水面積百八ヘクタールに加え、JR豊肥本線や国道五七号が不通となるなど、甚大な被害をこうむることとなりました。

 このような状況から、ダムの早期完成に対する地域住民の要望は大変強く、二十五年十二月には、玉来ダム建設用地の補償基準について、地元地権者で組織された玉来ダム対策協議会と、事業主体である県との間で調印式が行われるまでにこぎつけました。それ以降、用地交渉も順調に進み、七月九日には私も出席させていただきましたが、大野川漁業協同組合と県との間で漁業補償契約も調印に至ったところでございます。

 そこで伺います。私たち竹田市民の水害に対する不安を取り除くためにも、住民の悲願である玉来ダムの一日も早い完成が待ち望まれます。ダム本体を建設する用地については、既に取得済みと聞いていますが、早期完成に向け、ダム本体工事への着工時期を含めた今後の見通しについてお聞かせください。

  〔土居議員、対面演壇横の待機席へ移動〕

○麻生栄作副議長 ただいまの土居昌弘君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。

  

〔広瀬知事登壇〕

◎広瀬勝貞知事 土居昌弘議員には、玉来ダムについてご質問をいただきました。

 三年前の九州北部豪雨によって、竹田市初め県内各地で甚大な被害が発生し、私も現地に駆けつけて、豪雨による水害の脅威を改めて実感したところであります。

 直ちに、大分県水害対策会議を招集いたしまして、国や市町と協議を重ね、玉来ダムなど防災機能の強化を掲げた復旧・復興推進計画を策定したところであります。

 この計画に沿って、竹田市内においては、被災施設の早期復旧と、玉来川の堤防のかさ上げ、流木をせきとめ被害の拡大を招いた阿蔵新橋の撤去などの対策を講じたところであります。

 これらによりまして、自然災害に対する安全性は確かに向上いたしましたけれども、市民の不安を解消するためには、やはり玉来ダムの早期完成が必要であると考えております。

 ダム建設予定地の用地買収におきましては地権者の皆様のご協力をいただきまして、わずか一年で九三%の用地を取得することができました。残る用地は共有地などで、手続に時間を要しますけれども、来年度末には取得を終える見込みであります。

 これもダムの完成を心待ちにしておられる住民の皆様の熱意のあらわれでありまして、県といたしましては、この期待にしっかりと応えていかなければならないというふうに考えております。

 一方で、ダム建設予定地は阿蘇のたび重なる噴火活動によりまして、複雑な地形・地質状況を呈していることから、設計・施工に多くの技術的な課題を持っているものであります。

 そのため、一般的なダムに比べまして調査・設計に時間を要しましたけれども、稲葉ダムで培った技術と経験を生かしつつ、国の研究機関からの技術指導も仰いで、自然環境に優しい流水型ダムの設計にもめどがついたところであります。

 現在、国のダム検証に伴って、玉来ダムのように新たに本体工事に着手するダムへの予算確保が非常に厳しい状況にあります。

 そうした中でも、さまざまな工程上の工夫を凝らし、今年度は、ダム本体工事に必要な川の流れをせきとめる工事に取りかかり、来年度には、いよいよダム本体工事に着手したいというふうに考えております。

 その後も努力を重ねまして、できるだけ早期の完成を目指していきたいと思いますけれども、稲葉ダムの実績から見ますと、ダム本体が立ち上がり、治水効果が発揮されるまでには、まだおおむね四年程度が見込まれると思います。

 今後とも地域の皆様や関係機関のご協力をいただきながら、竹田市民の悲願とも言うべき玉来ダムの一日も早い完成に向けて、全力を挙げていきたいというふうに思っております。

○麻生栄作副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 大変ありがとうございました。来年度、二十八年度に本体工事着工ということで、それから四年で機能を発揮するダムをつくりたいということでございます。やっと本体工事の時期が見えてきました。本当にありがとうございます。

 私には、このダム事業が進むにつけて、本当に感謝してもし切れない方々がいらっしゃいます。それは、地元の地権者の方々です。人間はエゴを持っております。俺が俺がの我が出てしまいます。しかし、地元の地権者の皆様は、先祖代々引き継いできた、そして、本来なら自分が子供に受け渡さなければならない、その用地を提供していただいております。水害で苦しむ竹田市民のために差し出していただいているのです。実際、そういった皆さん方の中には、ダムができてもできなくても、その方の暮らしは全く変わらないという方もいらっしゃいます。しかし、竹田市民に寄り添い、市民の苦しみを我が苦しみとして感じているからこそ、土地を提供しているのです。平成二十六年二月の用地の買収が始まり、わずか一年ちょっとで九三%でございます。こんなことはあり得ません。驚異的な速さでございます。私は、この地元地権者の方々の思いに深く感謝し、そして、竹田市民の安全な暮らしを守るためにも、玉来ダムを一刻も早く完成させることが、ただいまいただいているご恩に報いることだと思っております。お力を尽くして頑張っていただきたいとお願い申し上げ、次の質問に入りたいと思います。

 次に、農業政策についてでございます。

 まずは農業水利施設の管理についてです。

 昨今、土地改良区が維持管理を行っている農業水利施設について、突然パイプラインが破損して漏水したり、制水弁等の機器類の故障によって通水不能の事態が起こったりと、突発的な事故がふえています。そのため、農業水利施設を管理する土地改良区は、たびたび修繕等のための出費を強いられています。

 県内の農業水利施設は造成から相当の年数が経過し、老朽化した水利施設は、いつどこで漏水するか、通水不能になるかわからない状態です。一たび故障等が発生すれば、故障箇所によってはその被害は甚大なものになります。そうなると、緊急に補修・整備を行う必要に迫られるわけですが、補助事業は事業採択までに期間を要することから断念せざるを得ず、結果として土地改良区が単独で費用を負担することを余儀なくされています。

 例えば、日田市の須ノ原土地改良区では、揚水ポンプの電気代が大幅にはね上がったため調査したところ、パイプラインが老朽化して、そこから破損・漏水していたことが判明しました。ここ五、六年の状況を調べてみますと、同様にパイプラインから漏水した事故が、県内でも宇佐市や杵築市の土地改良区などを初め、数多く発生していたことがわかりました。

 また、パイプラインの破損以外にもこのような事案が起きています。竹田市内の土地改良区では、平成二十三年の干ばつにより、県の支援が決まるまでの間ですが、施設園芸野菜への水の供給が不足し、農家に追加の給水経費負担が発生しました。また、去年の春の大雪の際には、土地改良区が管理する水路に竹や木が倒れかかり、その除去のために想定外の支出が出たケースもあります。

 このような突発的な事故や災害であっても、土地改良区は農家の経営への影響を最小限にとどめるために、迅速な対応をしなければなりません。農家の減少・高齢化の進行により、ますます土地改良区の運営が厳しくなりつつある中で、このような緊急な支出は、土地改良区の運営に大きな負担となるわけです。また、地域農業を守るとりででもある土地改良区の存続そのものを脅かすものでもあると思います。

 突発的な事故や災害が起こった際に、土地改良区が経営への影響を心配することなく、迅速に修繕等が対応できるよう、県として支援策を講じるべきじゃないかと思いますが、お伺いします。

○麻生栄作副議長 尾野農林水産部長。

◎尾野賢治農林水産部長 農業水利施設の管理についてお答えをいたします。

 

土地改良区が所有する農業水利施設は、土地改良法に基づき改良区みずからが適切に維持管理するものとされております。

 しかしながら、パイプライン等の老朽化も進んでいるため、県では、予防保全の観点から県内各地で計画的に更新整備を進めております。これまでの十年間で約二十五キロを実施したところでございます。

 このほか、パイプラインの補修等につきましては、土地改良区の要請により、市町村が余り時間をかけずに突発事故に対応できる制度もあることから、市町村及び改良区に周知をいたしまして、活用を働きかけてまいりたいと思います。

 また、土地改良区に対しましては、改良区の全国団体から、例えば、突発事故等に対応するための事前積み立てというようなものも奨励をされております。改良区自身にもぜひご努力もいただきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、組合員の減少等によりまして土地改良区が厳しい状況にあるのは、全国も同様でありますので、各県とも連携して改良区に対する公的助成制度の創設を国に対し引き続き要請をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○麻生栄作副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。実際、土地改良区は大変苦しい状況でございます。組合員がどんどん減ると、その中で運営していかなければならない。一方で、施設は老朽化していくという課題です。既存の制度を普及啓発するということです。市、また国に対して支援策をということですが、やはり県としても知恵を絞って頑張っていただきたいと思っております。ぜひともこの課題、解決するように一緒になって考えていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、集落営農についてです。

 本県は、他県よりも十年間早く高齢化が進行しておりますが、特に、竹田市のような農村部ではそれが顕著で、農業の担い手不足も深刻化しています。また、本県は中山間地域が多く、農家一戸当たりの経営面積の規模も小さいのが特徴です。しかしながら、経営規模の小さい個人経営の農家は、農業所得に比べて農業用機械への支出が多い機械貧乏となっており、さらに、後継者も育っていないなど、今後の経営の継続が非常に厳しい状況に陥っています。

 本県が力を入れていくべきは、私は集落営農ではないかと思います。私は、米・麦・大豆などについては、個人経営の農家から地域の中核的担い手や法人に生産を集約し、個人経営の農家は、資金や労力を多品目少量生産に適した野菜などの園芸作物にシフトしていくのが、今後目指すべき方向性ではないかと思っております。

 しかし、県内の集落営農の現状を見ると、リーダーのいる集落営農組織は順調に経営強化が図られて、しっかりとした受け皿づくりができていますが、リーダー不在のところは取り残され、組織の存続自体が危ういという状況にまで陥っています。

 また、農地の集約化についても、集落営農組織などの受け皿がないため、農作業を委託できず、個人経営の農家が自前で農業用機械を更新せざるを得なくなったり、あるいは優良な農地であっても、耕作放棄地になってしまうというような現状がございます。

 さらには、集落営農組織があったとしても、規模が小さい場合は、個人の色が強く出過ぎるため、集落内での調整がうまくいかず、この人ならいいが、あの人に頼むぐらいなら、農作業は委託せずにそのままにしておこうというようなことなど、思うように集約が進んでいない状況もあると聞いています。その結果、耕作放棄地が少しずつ増加し、さらには、ため池や水路の維持管理さえもできない状況となっています。

 そこで私は、このような課題を解決するために、大分県方式の集落営農の推進を提案します。それは、かつての村、この村を単位として、県と市町村が一体となって主導する集落営農です。言いかえれば、これまでの集落の自主的な取り組みを期待した集落営農から、積極的に行政が主導する集落営農への転換です。

 まず、機械の利用調整の範囲については、現在、多くの法人が行っている字単位の調整ではなくて、これでは規模が小さく、経営的には厳しくなってしまいます。他方、範囲を市町村単位まで広げてしまうと、規模が大き過ぎて、農家の機械の取り扱いも粗雑になりかねません。そうした意味で、地域的な一体感のある旧村単位で利用調整を行うのが、最もよいと考えています。

 次に、農地の担い手への集約を行う際に課題となるのは、排水対策です。水の管理がしやすく、排水のよい農地は借り手もありますが、排水が悪く耕作が難しい農地は借り手がいません。排水対策については、農地の流動化を進め、農家負担をできるだけ軽減する形で、県レベルの対策が必要であると思います。

 また、農地の貸借を、一元的に管理するシステムも必要です。これはGIS(地理情報システム)をベースとした水土里(みどり)情報システムを活用すべきであると思います。そして、生産性が高く、今後も耕作を継続する農地と、生産性が低く、山林などほかの用途に転用する農地との線引きを行い、耕作を継続する農地については、農地中間管理事業を活用します。また、この水土里(みどり)情報システムは、農地の集約だけではなく、集約した農地の貸し付け管理にも利用できます。

 さらには、集落営農組織の経営に欠かせない農業用機械や倉庫の整備については中山間地域等直接支払制度を活用し、多面的機能支払交付金など、活用できる交付金は全て活用します。

 このような取り組みを行った上で、旧村単位での集落営農組織の構築を目指します。この際、拙速に法人化を目指すのではなく、例えば、竹田市の宮城地区のように、集落間連携、これにより「夢、あふれる法人連絡協議会」を立ち上げるなど、農家が取り組みやすい方法で、取り残される地域がないようなシステムを構築します。そして、それを市町村のみに押しつけるのではなくて、県が主導して計画するのです。

 これまで地域農業を支えてこられた昭和一桁世代の方々は八十代に達し、多くの方々がリタイアされる年齢を迎えています。これからは、県や市町村などの行政が主体となって、地域農業を支える必要があると私は考えています。

 このような、旧村単位で、県と市町村が一体となって主導する大分県方式の集落営農の推進を、県としてぜひ取り組んでいただきたいと考えますが、本県の中山間地域の農業を支える集落営農の今後の方向性について、県の考えをお伺いします。

○麻生栄作副議長 尾野農林水産部長。

◎尾野賢治農林水産部長 集落営農についてお答えをいたします。

 中山間地域が多い本県では、他県に比べ集落営農組織の経営面積が小さく、収益性が低いことから、経営規模の拡大や経営の多角化が重要であると考えております。

 規模拡大という意味では、機械やオペレーターの効率的利用が図られる法人間連携も効果的と考えております。竹田市宮城地区の取り組みにも期待をしておりまして、振興局も市と一体となり、しっかり支援したいと思います。

 また、現在、人・農地プランの策定地域数の拡大やエリアの見直しを進めております。プランの作成に当たっては、議員ご提案の小学校区単位など地域の実情に応じて集落営農法人等の担い手が効率的な経営を展開できる範囲の設定を県の普及指導員も参画して進めてまいりたいと思います。

 これらの担い手に対しては、農地中間管理事業等の活用により農地を集積し、経営規模の拡大を促進していくとともに、集積された水田については、集積率に応じ地元負担に配慮した排水対策を実施し、麦や野菜が栽培可能な汎用化に取り組んでまいります。

 こうした取り組みを県が主導しながら市町村と連携して進め、地域農業や集落営農の体質強化を図ってまいりたいと考えております。

○麻生栄作副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。人・農地プランもそうです。やはり旧村、小学校区、ここで枠組みを決めていく必要があるんじゃないかなと思っています。  私たち自由民主党会派で地方創生特別調査会というものがございます。六月三十日に、豊後大野市に調査に行きました。カボスを生産加工して商いをしているあねさん工房などに行って現状の課題などを伺ったわけですが、緒方で井上の美田を全員で守り、後世に引き継いでいこうと活動されている農事組合法人「いのうえ」の組合員の方がおっしゃっていた言葉が気にかかりました。「うちの井上はまだいい。周りの地形的に不利なところはこれから大変だろう、何とかならないか。」と訴えていました。  確かに、中山間地帯では集落のまとまりが活動の根源です。しかし、そうは言っても、集落を単位に組織すると、その経営規模も小さく、また傾斜地圃場が多い、また構成世帯数及び労働力にも限界がある、若い人を雇用するのも経済的にも不足すると、経済力がないと、ここをどうするかです。

 一階に、暮らしの基盤である自治会などがあります。その上に、集落営農法人があります。またその上、三階部分に、旧村単位でそれぞれの集落が連携して組織をつくったり、共同法人を設立するとか、この三階建て連携方式が旧村単位の地域農業、そして農地を守っていくんではないかなと思っております。これが大分県方式の集落営農です。

 東広島市の農事組合法人、重兼農場は、五つの集落営農組織がまとまって事業を運営しています。このように、広島県や島根県などでこの動きが見えますし、長野県の飯島方式は有名でございます。

 ぜひともこの大分県方式を大分県が主導して県下の農業、農村、農地を守っていっていただきたいと思っております。今が分かれ目でございます。もうせっぱ詰まっています。この事態を打開していくために、県の強いリーダーシップを大いに期待して、次の質問に入りたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、芸術文化の振興についてです。

 四月に県立美術館が開館したことにより、県立総合文化センターと一体となった本県の芸術文化振興の中心拠点が完成いたしました。今後は、この拠点を中心に、県内各地の芸術文化がより一層彩られていくような取り組みが必要ではないかと考えています。

 芸術文化とスポーツの関連は、きのうの三浦議員のとおりで、ロンドンオリンピックのときの文化の祭典カルチュラル・オリンピアードは約四千三百万人を集めました。

 我が国でも、来年のリオデジャネイロオリンピック終了後から、文化プログラムを開始するとしており、文化庁は二〇二〇年に向けた文化イベント等の在り方検討会を設置し、具体的な内容の検討に着手しています。

 本県では、オリンピックの前年の二〇一九年に、ラグビーワールドカップも開催されます。東京オリンピックやラグビーワールドカップといった国際的なスポーツ大会は、県内の芸術文化を国内外に情報発信する絶好の機会だと思います。  このような考えからか、先月、県内の芸術文化団体で構成される大分県芸術文化振興会議が、平成三十年に国民文化祭を大分県で開催したいという要望書を知事に対して提出しております。芸術文化団体の機運も醸成されているというふうにうかがえますし、知事のきのうの三浦議員への答弁からも、検討していきたいという姿勢をうかがえます。

 そこで私は、芸術文化の振興に焦点を当てて質問します。

 県立美術館の開館により芸術文化振興の中心拠点が完成し、国際的なスポーツ大会を控えている今、知事は本県の芸術文化の振興を今後どのように図っていこうとされているのか、見解をお伺いします。

○麻生栄作副議長 広瀬知事。

◎広瀬勝貞知事 芸術文化の振興についてご質問をいただきました。

 心豊かな生活を実現し、活力ある地域社会を構築するために、芸術文化の力は大きいと思います。

 本県では、これまで県民参加の芸術文化活動や伝統文化への支援に加えまして、大分アジア彫刻展や別府アルゲリッチ音楽祭など、世界レベルの芸術に触れる取り組みを進めてまいりました。最近では、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」や国東半島芸術祭を初め、竹田や国見など県内各地で特色ある取り組みも広がりを見せております。まずは、こうした地域の特性を生かす取り組みをしっかりと支援をしていきたいと思います。

 また、県立美術館の開館によりまして、iichiko総合文化センターとともに、県の芸術文化振興の拠点となる芸術文化ゾーンが完成いたしました。県内のさまざまな芸術文化団体や施設等と連携を図ることで、県内全体が芸術文化で彩られるように取り組んでいきたいと思います。

 さらに、芸術文化の持つ創造性や普遍性を生かして、教育、産業、福祉、医療などさまざまな分野の社会的、経済的な課題にも対応していきたいというふうに思います。

 こうした中で開催される東京オリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップなどの国際的なスポーツ大会は、芸術文化の魅力を国内外に発信できる絶好の機会だと思います。さらに、こうした大会で行う芸術文化イベントは貴重な経験やノウハウが得られ、若手の育成や芸術文化レベルの向上にもつながるものだというふうに思います。

 オリンピックに向けた国の文化プログラムについては、つい先日、文化庁より来年の秋から全国津々浦々で、イベント数二十万件、参加人員五千万人を目標として実施していくということが示されたところであります。

 一方で、先月、大分県芸術文化振興会議の皆さんからは、平成三十年に国民文化祭を開催してほしいとの要請がありました。平成三十年は、県立総合文化センターが二十周年、アルゲリッチ音楽祭が県民芸術文化祭とともに二十回を迎えるなど、本県の芸術文化にとって大きな節目となります。

 この国民文化祭でありますけれども、国では、昨年、国民文化祭のあり方を大きく見直して、既存の文化事業を拡充・発展する方法や実施事業の絞り込みなどによりまして、開催地の費用負担を軽減することにしております。また、これまで別々に開催していた障害者芸術・文化祭も、原則、国民文化祭と同じ開催地で行うこととされております。

 このような点を踏まえまして、本県にとって記念すべき年となる平成三十年から、ラグビーワールドカップの三十一年、東京オリンピックの三十二年までを見据えまして、国民文化祭も視野に入れながら、大分県ならではの文化プログラムについて、具体的に検討していきたいというふうに考えております。

○麻生栄作副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。具体的に検討していきたいということでございますので、ぜひとも県民の声を聞きながら前向きに検討していただきたいと思います。

 芸術文化は、市場原理の考えでいけば成立しづらいものでございます。しかしながら、人の心を育てる大切なものでもあります。ですから、行政が芸術文化の絵をどう描くかが重要でございます。大分県は、芸術文化政策について、単に支援をするというところではなくて、中に入って一緒になって進めていくというところを見せていただきたいと思います。

 また、OPAMが四月に誕生し、向かいの総合文化センターとともに芸術文化の拠点ができました。総合文化センター、知事もおっしゃったとおり、前回の第十三回国民文化祭の年、一九九八年に建てられております。そのメーン会場である文化センター中心に、県内各地で文化祭の期間、十日間ではございますが、国内外から二万五千人が出演し、約八十七万八千人が観客として訪れております。ことしは鹿児島で、「感動!かごしま」とうたって国民文化祭が行われますし、来年は愛知県、再来年は奈良県で開催が決定しております。

 そして、問題の二〇一八年でございます。何とぞ前向きに検討していただきたいと、よろしくお願い申し上げて、次の質問に入りたいと思います。

 救急医療体制についてです。

 竹田医師会病院は、昭和四十三年、竹田市民の健康管理の拠点として設立されました。その三年後の昭和四十六年には救急指定病院となり、さらに昭和五十四年には救急医療センターを竣工し、地域における救急医療の核としての機能を担うとともに、その後は、長く手術や入院を要する重症患者に医療を提供する第二次救急医療機関として役割を果たしてきましたが、平成十九年六月、第二次救急医療機関としての体制を維持していくための医師確保が困難となったため、同病院は、二次救急医療機関としての指定を辞退し、これによって竹田市の救急医療体制は崩壊してしまいました。当時、不安を抱いた竹田市自治会連合会は、「竹田市に住んでいるために、命を失うことがあってはならない」と訴え、第二次救急医療機関としての復帰に向けて署名活動も行いました。

 同病院では、平成十九年以前は、年間延べ八百台以上の救急車を受け入れていましたが、辞退後の二十三年には二百七十八台にまで激減しております。

 幸いなことに、ドクターカーやドクターヘリを活用し、竹田市の救急医療を取り巻く環境は改善しつつありますが、二次救急医療機関が依然としてないという状況は変わりありません。

 このような状況に対し、竹田市と竹田市医師会、医師会病院、そして竹田市消防署、それらは正面からこの問題に向き合って、知恵を絞って解決していこうと努力しております。と同時に、この問題については、県についても医療政策の課題として捉え、解決を図っていっていただきたいと思っております。

 県は、この竹田市の二次救急医療体制、どう考え、今後どのように整備していくのか、見解をお伺いします。

○麻生栄作副議長 草野福祉保健部長。

◎草野俊介福祉保健部長 竹田市の二次救急医療体制についてお答えします。

 議員ご指摘のとおり、竹田市は、二次救急医療体制が確保できない県内唯一の地域となっており、県としても、医療政策上の重要課題の一つとして認識しております。

 そうした中、昨年半ばでございますが、竹田医師会病院と大久保病院の両病院から、若干の課題はあるものの、受け入れ態勢が整ってきつつあることや医療関係者の機運も高まったことから、二次救急医療体制を担いたいという意向が相次いで県に示されたところです。

 県としては、両病院の意向を大事にし、課題解決に向け、国や竹田市と協議するとともに、必要な診療体制が確保できるか等について、地元関係者も交えながら、検討を重ねてきました。

 その結果、来年四月から、両病院が互いに連携し補完し合いながら二次救急医療を実施する方向となり、現在、具体的連携方法について、両病院を初め医師会や消防等と調整を行っているところです。

 県としては、竹田市とも連携しながら、その実現に向けて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 以上であります。

○麻生栄作副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。平成二十八年、来年四月、竹田市二次救急医療体制がきちんと整備できるように、県としましても力を傾注させてご支援をお願いします。

 次の質問に入ります。

 最後に、地域包括ケアシステムについてです。

 団塊の世代が後期高齢者となる、いわゆる二〇二五年問題に向け、誰もができる限り住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、医療・介護サービスを一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が急務となっております。この地域包括ケアシステムを構築していく上で重要となるのが、地域ケア会議です。

 地域ケア会議は、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を同時に進めていく地域包括ケアシステムの実現に向けた一つの手法です。具体的には、高齢者一人一人が抱える個別の課題を、市町村職員、地域包括支援センターの職員、ケアマネジャー、介護事業者、理学療法士や作業療法士、管理栄養士、歯科衛生士、保健師、看護師などによる多職種の協働で解決していこうというものです。

 私はこの六月から県下の幾つかのケア会議に出席し、その様子を拝見させていただきました。会議では、一人一人の自立に向けた支援策について、出席している助言者がそれぞれの分野から的確にアドバイスをしていました。参加者全員が、課題を抱える高齢者とその暮らしを懸命に支援していこうという姿勢が見受けられました。

 しかし、一方で、地域ケア会議の抱える課題のようなものが見えてきました。

 高齢者一人一人の個別の課題を、地域全体の課題として受けとめることができているのか、また、その解決策を練ることが、結果として地域全体の福祉力の向上につながるということを関係者で共有できているかということです。会議の中で検討された多くの事例を、課題のタイプごとに積み上げ、その地域に特有な課題を見つけ出し、それを地域の課題として、解決のために知恵を出していっているかという問題でございます。

 地域ケア会議は、単に個別事例の解決の場に終わるのではなくて、個々の事例から地域課題を明らかにして、その解決のために介護の支援事業を考え出したり、暮らしの支援政策を生み出す場です。また、県民の暮らしを考えれば、福祉・医療に従事する方々だけではなくて、インフォーマルな、つまり地域住民によるケア会議のようなものを開催することで、地域の福祉力を高めていくことが重要だと思います。

 さらに、医療との連携強化も課題です。福祉と医療、特に支援対象者の診察をされている主治医との連携不足がうかがえるケア会議が幾つかありました。地域ケア会議や地域包括ケアシステムをうまく機能させていくためには、福祉と医療の連携がとても重要です。ここをどのようにデザインしていくのか。

 そこでお伺いします。今後、各地域で地域包括ケアシステムを構築していくためには、先ほど私が述べたような課題も踏まえながら、県内の市町村や関係者に対し必要なアドバイスをしていくなど、県としてリーダーシップを発揮していく必要があると思いますが、県として地域包括ケアシステムの構築をどのように進めようとしているのか、見解をお伺いします。

○麻生栄作副議長 草野福祉保健部長。

◎草野俊介福祉保健部長 地域包括ケアシステムについてお答えいたします。

 本県では、平成二十四年度から地域ケア会議の開催に取り組み、二十六年度には、全国に先駆けて全市町村で実施されるようになったこともあり、市町村ごとにさまざまな課題も見え始めてきたところです。

 県では、地域ケア会議の充実に向けた支援に加え、きめ細かな地域ニーズにも対応するため、例えば、豊後大野市における旧町村単位での介護予防拠点の立ち上げや、別府市における介護支援ボランティアの育成など、地域住民との共同による取り組みを支援してきました。

 また、そうした中で議員ご指摘の医療・介護の連携が市町村共通の課題の一つとして見えてきたところであります。

 このため、医療・介護関係者に対する研修や、医療圏域ごとの連携会議の開催、入退院時における医療機関と介護支援専門員との情報共有ルールの策定などに現在取り組んでいるところであります。

 今後は、こうした取り組みを踏まえ、その成果を市町村等に普及させることにより、地域包括ケアシステムの構築を一層推進してまいります。

 以上であります。

○麻生栄作副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。特に医療との連携でございます。私は、県が医師会などの医療機関に対して、市町村が効率的に働きかけられるように、事業の位置づけや市町村のやるべきことを、よりはっきりと明示する必要があると思っています。そして、県の出先機関である保健所が、より力強く医療と介護、そして市町村の連携、ここを進めていく必要があると思っております。保健所には、この連携のいわばくさびの役目を、持てる機能を発揮して努めることで地域包括ケアシステムは築かれるんではないかなと思っております。

 例えば、豊肥地区です。豊肥地域在宅医療推進協議会がございます。ここで連携を進めていこうとされていますが、豊肥地区でございます、やはりそれぞれの市町村で分けて、きめの細かな指導が必要だと私は思います。ぜひこういう方向に進んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○麻生栄作副議長 草野福祉保健部長。

◎草野俊介福祉保健部長 地域ケア会議の医師の参画についてご提言がありました。

 まず、何カ所かご視察いただいたことを感謝申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、地域ケア会議の推進には、医療と介護、福祉との連携というのは大変重要であります。その中で医師の果たす役割というのは非常に重要であると認識しております。

 今後は、特に地域ケア会議に医師が参加できるように、特に専門的かつ医学的な助言が必要なケースというのがあります。難病であったり、そういうものについて、また、そういう困難事例への参加に加えまして、地域ケア会議全体をどう見据えるかというのにも医師の参画が必要であります。今後、かかりつけ医を含めまして、ケアマネジャー等とどういうふうに個別に対応していくかということにつきましても、医師会、市町村とも相談しながら、検討してまいりたいと思っております。

 次に、保健所の役割であります。

 議員ご指摘のように、保健所の役割というのも大変重要であります。

 現在、郡市医師会や関係機関と調整しながら、在宅医療推進のための連携会議、議員ご指摘のとおり、開催しております。

 訪問介護や介護職員との同伴訪問なども保健所の職員がやっております。今後とも、保健所のそういう専門性を生かしながら、地域における広域的な連携体制づくりや、市町村と関係機関との調整、人材育成等に保健所が中心となって、またつなぎ役となって役割を果たしていきたいというふうに考えております。

 以上であります。

○麻生栄作副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ぜひよろしくお願いいたします。

 いずれにしましても、地域ケア会議とは、当事者の自立へ向けた協議の場であります。自立とは、自分の力だけで立つことではありません。支え、支えられながら立つことでございます。自立とは、共生の場の中にこそあります。この共生の仕組みを考え、できることを実践して、福祉的な社会基盤を整えていっていただきたいと思っております。

 今後、県の力強いリーダーシップのもと、県下自治体の地域ケア会議がより充実し、それぞれの地域で、それぞれの地域包括ケアシステムができ上がりますことを心底から願って、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)