大分県議会活動

平成25年第4回定例会


2013年12月3日 本会議 一般質問

◆土居昌弘議員 五番、自由民主党・無所属の会、土居昌弘。ただいまから一般質問を始めます。

 まずは、玉来ダムについてです。

 今から三十年以上前になりますが、昭和五十七年七月に大水害に見舞われました竹田地域では、県と竹田市を中心として、将来にわたっての再発防止に向けて、稲葉川と玉来川の治水対策を早急に検討することとなりました。

 当時は、その結果、稲葉川はダム事業と河川改修を併用することとし、玉来川につきましては河川改修を進める計画が策定されました。早速、両水系で河川改修が始まるとともに、稲葉ダムの建設に向けては、実施計画に必要な調査に着手いたしました。

 しかし、わずか数年後の平成二年七月初旬、再びこの地を襲った豊肥大水害によって、前回を上回る大きな被害を受け、稲葉、玉来両水系の治水のあり方については根本的な練り直しを迫られる事態に陥りました。稲葉ダムに加えて、玉来川においてもダムの必要性が検討され、結果、平成三年に竹田水害緊急治水ダム建設事業としての採択にこぎつけ、二つのダムを整備していく運びとなったのです。

 その後、二十年の長い歳月を費やして、ようやく平成二十二年に稲葉ダムが完成いたしましたが、もう一方の玉来ダムは、いまだ整備の途上にあります。特に、平成二十一年には、当時の民主党政権におけるダムによらない治水への政策転換のあおりを受け、事業が検証対象とされたため、約二年間の足踏みを余儀なくされました。

 そういった中で、昨年七月に起こりました九州北部豪雨災害において竹田地域は、再度、復旧の重荷を抱えることとなりました。ダムのできていない玉来川流域の被害はやはり大きく、荒れ狂った濁流が轟音を立てて押し迫り、私たちの暮らしやとうとい命も容赦なく奪っていったのです。大変つらいことでした。

 被災後、半年を経過したことしの一月二十四日、広瀬知事とともに玉来川流域の竹田市志土知を訪れた際に、私は、「ムラサキの里営農組合」の女性部の皆さんからお聞きした話が大変印象に残っております。「例年、正月過ぎには、竹田の直売所に七草を出品して販売しておりましたが、ことしはそれができません。田や畑が崩壊したままで、七草も生えず、私たちの心には大きな穴があいてしまっています」という訴えでした。

 このたびの被災につきましては、知事を筆頭とした関係者のご尽力により、災害復旧が迅速、着実に進んでおり、改めて感謝申し上げる次第でございます。しかし、玉来ダムの早期完成を待ち望む地元住民の切なる願いには、まだ形としてこたえ得る成果が見えておりません。

 豊肥地域のたび重なる災害の歴史に終止符を打つためにも、引き続き玉来ダムの早期完成を強く求めていきますが、県事業の今後の見通しについて、そして知事の決意もあわせて、改めてお聞かせください。

 〔土居議員、対面演壇横の待機席へ移動〕

○田中利明副議長 ただいまの土居昌弘君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。

 〔広瀬知事登壇〕

◎広瀬勝貞知事 ただいま土居昌弘議員には、歴史的な由来も説きながら、玉来ダムの必要性についてご質問を賜りました。

 まず、昨年七月の豪雨災害からの復旧、復興に懸命に取り組んでおられる豊肥地域の皆様に対しまして、改めまして、心からご慰労を申し上げるとともに、そのご努力に敬意を表したいと思います。

 二カ月ほど前でございますが、竹田市を訪問いたしまして、不通となっていましたJR豊肥本線の全線復旧を契機に、地域をより一層盛り上げようと活動されている皆様にお会いいたしました。そのとき、「過去の水害で二度も浸水し、家屋を移設した。ぜひとも玉来ダムの早期完成をお願いしたい」という痛切な思いを伺ったところであります。

 今回の水害を振り返りますと、三年前に完成した稲葉ダムの下流域では、浸水被害が最小限に食いとめられまして、河川改修とダムをあわせた総合的な治水対策の効果が発揮されましたけれども、ダムが完成していない玉来川沿いでは甚大な被害を被ったところであります。

 こうしたことからも玉来ダムは、市街地を守るもう一つのダムとして、地域の安全、安心に欠くことのできない重要な施設であり、整備を急ぐ必要があると考えます。

 さきのダム検証の影響で二年程度のおくれが生じましたけれども、これまでに地質調査や用地測量、設計を並行して進めるなど、おくれを少しでも取り戻そうと鋭意取り組んでまいりました。

 竹田市周辺は複雑な地質でありまして、技術的な課題があることから、ダムの設計や施工方法について、稲葉ダムで培った技術と経験をもとに、現在、国や研究機関と綿密な検討を進めているところであります。

 また、本年三月には、地元の玉来ダム対策協議会との間でダム建設に関する基本協定の調印を行いまして、ダム建設に向けて弾みがついたところであります。

 今後、用地取得の前提となる損失補償基準について、協議会と早期に合意を図り、用地買収に着手したいと思っております。

 今まさにダム本体着工に向けた大きな節目のときを迎えておりまして、その準備作業をさらに加速していきます。

 竹田市民の悲願である玉来ダムの一日も早い完成に向けまして、地域の皆様や関係する機関の協力をいただきながら、早期にダム建設のつち音を響かせることができるように全力で取り組んでまいりたいと思います。ぜひ、よろしくご協力のほどお願いします。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 今現在の竹田ダム建設事務所の仕事ぶりでございますが、例えば、管理用道路の設計をしております。そして、通常ならば、地形の測量、そして、実施設計、それから、用地の立ち会い、用地の測量と、またそれぞれで、地元の説明をしながら順次していくわけなんですが、先ほど知事が答弁でおっしゃいましたように、これをまとめて、一緒に今やっているところでございます。私どもにとりましても大変ありがたいことでございます。しかしながら、これから地元の皆様のご協力とご理解をいただいていかなければなりません。

 先月の四日には、宮城分館で玉来ダム対策協議会と玉来川下流域自治会長との意見交換会が開かれました。そこでは、互いに意見を交わし合いながら、ダムの一刻も早い完成を願うという共通点を見つけ出し、一致団結していこうということになったところでございます。とは申しましても、やはり地元からもいろいろと要望がございます。そこで、今の竹田ダム建設事務所の体制でいいのかどうかという問題でございます。

 現在、事務所は、竹田市からの派遣職員一名を含んで、十七名体制です。用地交渉をするチームは、三名で一チームしかいません。これで建設のピッチを上げろといっても難しいんではないかと思います。また、ダム建設工事につきましても、本体設計と周辺工事を今一緒にやっている現状がございます。これを何とかできないのかと思っております。これから、地元の皆様とじっくりと協議をして、周辺整備も含めてダムの完成を早めようと思えば、このダム事務所の体制についても考えていただきたいと思うんですが、その辺についてお聞かせいただきますようお願い申し上げます。

○田中利明副議長 畔津土木建築部長。

◎畔津義彦土木建築部長 お答えをいたします。

 来年度の体制につきましては、現在、検討中でございます。いずれにしましても、一日も早いダム建設に向けまして、本庁、そして地方機関一体となって対応してまいりたいと考えております。以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ただいま検討中という答弁いただきましたが、皆さん、早期完成を求めています。県の方もその体制をとりつつありますので、ぜひとも、来年度、十分に仕事ができるような体制を組んでいただきたいと思っております。

 本日は、傍聴席に玉来川流域に暮らす方々がお見えでございます。つまり、昨年の水害では、また被災した皆様です。ぜひとも、こういう方々、竹田市民も含めて、豊肥地区で暮らす皆さんを含めて、早く安心、安全が届きますよう願って、私の最初の質問を終わらせていただきます。

 次に参ります。

 次は、ぐるっとくじゅう周遊道路についてでございます。

 夏休みも終わりに差しかかったことしの八月二十七日の午前十一時ごろ、由布市庄内町阿蘇野の県道田野庄内線を走行していた大型観光バスがカーブを曲がり切れずに脱輪するという事故が起こりました。事故現場の急カーブは幅員わずか四メートル、道路周辺も道幅が非常に狭かったことから、道路をふさいだバスをレッカー車で引き揚げることができずに、クレーンを使っての撤去となったため、上下線ともに八時間にも及ぶ通行どめになりました。

 この県道は、ちょうど久住山を取り囲む、ぐるっとくじゅう周遊道路の一角でもあり、平成二十一年に改定されました大分県中長期道路計画「おおいたの道構想21」では、観光振興の観点からも利便性を高めていくことが盛り込まれております。また、この周遊道路を軸とした地域ブランドを確立するということで、地域の魅力の向上にも努めていくとされております。しかしながら、八月の脱輪事故が示すように、この周遊道路の整備が着実に進んでいるとはとても言いがたい状況にあるのではないでしょうか。

 そこで、今回の事故を踏まえ、現場周辺を含めたこの、ぐるっとくじゅう周遊道路の整備を今後どのように進めていくのか、また、この周遊道路の整備目的でもある地域ブランドの確立を見据えた県の方針をお伺いします。

○田中利明副議長 畔津土木建築部長。

◎畔津義彦土木建築部長 お答えいたします。

 ぐるっとくじゅう周遊道路につきましては、くじゅう連山周辺の観光振興に寄与することを目指しまして、愛称やシンボルマークを用いた統一的な案内標識の設置等を行ってまいりました。

 周遊道路を構成する道路の整備といたしましては、現在、阿蘇くじゅう公園線沢水工区や庄内久住線新田工区、飯田高原中村線豊後渡工区などにおきまして改良工事等を実施しております。

 ぐるっとくじゅう周遊道路や日本風景街道に指定されましたやまなみハイウェイなどの路線につきましては、地域の生活道路としての整備に加えまして、観光道路としての機能にも着目し、地域の実情に合った改善に努めてまいります。

 今後も、すぐれた自然景観を生かした道路設計の工夫や景観を阻害する樹木の伐採などによりまして魅力的な道路景観を創出し、温泉や食、体験を絡めたツーリズム等による地域ブランドづくりを進め、観光振興や地域活性化につなげてまいりたいと考えております。以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 観光目的の道路ということで、そこをやはり確立していくためには、県の部局間での連携も必要ではないかと思っております。その辺についてお伺いいたします。

 また、この周遊道路が走る九重町、由布市、そして竹田市の多くの市民、町民の皆さんが、もっと活用してほしいという願いを持っております。例えば、この沿線自治体で、もしくはその住民で周遊道路の活用推進連絡協議会とかいうものをつくって、活用について考えてみるとか、そういった策もあるんではないかと思いますが、その二点についてお伺いします。

○田中利明副議長 畔津土木建築部長。

◎畔津義彦土木建築部長 お答えいたします。

 もとより、本庁内関係部局の横断的な取り組み、必要だと考えております。これまでも周遊道路の活用につきまして、沿道の景観整備や観光マップの作成等、庁内の企画振興部、土木建築部で取り組みを行ってまいりました。

 また、住民の力の活用というお話もございましたが、これまでも日本風景街道やまなみハイウェイ協議会というものが設置されております。これは、ぐるっとくじゅう周遊道路も含まれるエリアでございますが、そうした協議会の中に、沿線の自治体を初め、沿線の住民の方々、そして、私ども県、そして、国の担当者も入りまして、これまでも沿道の樹木伐採、あるいは看板の集約等の作業をしてまいりました。今後も、そうした住民の方々の協力をいただきまして、観光面における道路の利活用、沿道のにぎわい創出によるツーリズムの振興に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 八月のバスの脱輪事故もありますけれども、やはり道路の整備はまだ進んでないなというのが実感でございますし、まだまだ観光を生かしたルートにはなり切れていないと私は感じております。

 県の土木の職員は、皆様、地域づくりのスペシャリストです。私が言うまでもなく、単なる道の工事屋さんではございません。その辺をぜひとも再確認して、地域づくりのスペシャリストとなるようにご尽力いただきたいと思っております。

 それでは、次に移ります。

 竹田市におけるジオパークの取り組みについて質問です。

 このたび、姫島村と豊後大野市が見事、日本ジオパークの認定を受け、地元の皆さんによる地域づくりがいよいよ本格化していきます。

 「ジオ」とは大地や地球を示す言葉で、ジオパークは、貴重な地層や地形を守りながら、一方で教育や地域振興にも生かしていく自然公園であり、大地の遺産、あるいは大地の公園とも言われます。

 我が竹田市においても、市民による地域づくり団体「岡の里事業実行委員会」が中心となって、平成十五年から大分地質学会の工藤幸久先生をお迎えし、「地域の岩石・地層・化石観察会」を定期的に開催しております。そこでは、竹田市民はもちろん、市外からの参加者も交えて、竹田市のジオについて学び、関心を高める取り組みを行っているところでございます。この十月二十日には、第十二回竹田ジオウォークを開催し、「竹田での西南戦争と阿蘇火砕流堆積物」と題して、竹田の町の周辺を散策しながら、薩摩軍と官軍が竹田の大地をどのように利用して戦ったのかなどについて学習しました。

 また、竹田市には、二十七万年前の噴火から四度にわたって噴火した阿蘇山の火砕流堆積物が分布しており、時代の異なる四回の噴火の火砕流堆積物、阿蘇一から四まですべてが観察できるということが評価され、平成二十一年に日本地質百選に選定されたほか、平成二十三年には国の天然記念物にも指定されました。このようなことから、学者の間では「火砕流堆積物研究のメッカ」と評されているほどです。

 現在、竹田市では、この誇れる大地の魅力を活用したまちづくりに向けて鋭意検討を進めているところでございますが、日本ジオパーク認定を視野に入れた場合、今後どのように取り組んでいくべきなのか、また、県として、竹田のジオ活動にどのような支援が可能なのか、県の考えをお伺いします。

○田中利明副議長 冨高生活環境部長。

◎冨高松雄生活環境部長 お答えします。

 ジオパークの取り組みについてです。

 竹田市には、阿蘇の火砕流堆積物や、溶結凝灰岩を利用した岡城址の石垣、くじゅう火山群の噴火の痕跡など、大地や地域の歴史、文化の成り立ちを明らかにする学術的価値の高い地質遺産や文化財が随所に存在しています。

 そのような中にあって、ジオパークの認定を目指すには、地元自治体や関係団体がしっかりとした運営組織を設け、学術研究機関等と連携して、地質学的な調査研究や普及啓発等を計画的に行うことが重要です。さらに、地元の皆さんが、地道な学習会等を通じまして、自分たちの地域の魅力に気づき、認定を目指そうとする機運が高まることが大切です。

 県としましては、こうした地元の動向を注視するとともに、ご要望があれば、これまでの取り組みを通じて蓄積しましたジオパーク活動の推進に向けたノウハウの提供や、国内の研究者やジオパーク関係者とのネットワークづくりに向けての情報提供などの支援を行ってまいります。以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 わかりました。

 組織をつくって体系的にジオパークの取り組みを進めていくというところで、県もそれと一緒になって支援をするということですね。はい、わかりました。

 今後、竹田市においても、その取り組みが可能なのか、また、別の活動で行くのか、そういったところを一緒になって協議をしていきたいと思っております。

 日本の小学校では、一年生に平仮名や片仮名、あるいは数の計算などを教えますが、オーストラリアの小学校では、百数十億年前にビッグバンという現象が起きて宇宙が生まれ、四十六億年前に私たちの地球ができた、それから四十六億年という気が遠くなる歳月をかけて、私たちの命が生まれてきた、そうした長いつながりの上に私たちの命をいただいているということを教えるそうです。ジオについて考えるということは、こういうことを考えるとても大事な機会ではないかと思っております。ぜひともこういう機会を、単に日本ジオパークの認定をもらったという自治体だけではなくて、県民全体に届けていただきますようお願い申し上げて、次の質問に入りたいと思います。

 次に、肉用牛振興についてでございます。

 先日、玖珠町で開催された出前議会「議員と語ろうイン西部地域」に参加した際、日田市や玖珠町、九重町の皆さん方から県への要望などをさまざまお聞きしました。

 その一つとして、先ほど三浦議員の一般質問でも話題となりました玖珠町認定農業者「高志会」の宿利会長さんの話では、農林水産統計を見ると、県内の肉用牛繁殖雌牛の飼養頭数は、平成二十五年で一万七千三百頭となっており、この十年間で三割減、また、肥育農家は、同じくこの十年間でほぼ半減の千四百八十戸と、牛も農家数も大きく落ち込んでしまい、加えて、肉用牛農家のうち七十代、八十代の方が何と四割近くを占めているそうです。また、久大地域における肉用牛農家の廃業理由としては、意欲の減退と高齢化によるものが合わせて六割を占めており、県として今後どのようにして肉用牛の増頭に取り組んでいくのかを真剣に考えていただきたいと強く訴えられておりました。

 そこで、繁殖牛と繁殖農家のこのような減少傾向について、県はどのようにとらえ、今後どのような打開策を講じようとしているのか、お伺いします。

○田中利明副議長 広瀬知事。

◎広瀬勝貞知事 ただいまは、繁殖牛の増頭対策についてご質問だと思います。

 県内の子牛価格でございますけれども、先月の市場平均が五十三万六千円と全国平均を上回りまして、この二十年間で最も高い価格となっております。二カ月連続で五十万円を超えるという高値で取引されているところであります。

 一方、配合飼料の価格も高値が続いておりまして、飼料の自給率が低い経営体においては、飼料購入費の増加など、経営を圧迫する要因となっております。

 これまで、県では、意欲のある農家を中心に、増頭と牛の若返りのための繁殖雌牛導入や牛舎の増築、改造による規模拡大を支援してまいったところであります。その結果、十八年から二十四年までに施設整備に取り組んだ百二十二名の平均飼養頭数は五十八頭から八十頭に拡大いたしまして、県の肉用牛経営の柱となる担い手が育ってきているところであります。しかしながら、繁殖雌牛の半数は六十歳以上の方が飼育をしておりまして、今後いかにして世代交代を進めていくかということが課題となっております。

 こうした状況を踏まえまして、県では、本年四月にブランド名を「おおいた豊後牛」に統一し、これをきっかけにして、生産から流通、販売までを見据えた戦略的な計画を策定し、繁殖牛対策として次の三点を柱に取り組んでいるところであります。

 まず一つでありますが、飼育技術を次代につなぐ取り組みであります。

 長崎全共では三位の成績をおさめましたけれども、これは、優秀な肉用牛とその能力を発揮させる飼育技術を持った方々が県内に多くいるというあかしであります。優秀な繁殖雌牛を集約するキャトル・ブリーディング・ステーションの導入などによりまして、牛とたくみのわざを担い手に継承するシステムづくりに取り組みたいと思います。

 第二に、力強い担い手の確保と企業的経営体の育成であります。

 農業大学校や企業的経営体との連携によりまして、後継者、新規就農者の確保に努めるとともに、足腰の強い持続力のある経営体を育成したいと思います。

 第三に、久住飯田地域を中心に開発された二千ヘクタールに及ぶ草地の有効活用であります。

 遊休牧野での放牧の再開などによりまして、コストの低減と省力化による規模拡大を推進したいと思います。

 この三つの柱を中心に、規模拡大の意欲ある担い手を企業的経営体に誘導するとともに、他産業、他品目からの参入や第三者継承を推進するなど、本県の繁殖基盤を盤石なものにするための支援を充実させていきたいと思います。

 このたび、産子の肉の質、量ともにすぐれ、スーパー種雄牛への期待が膨らんでおります「平福安号」が誕生したところであります。市場関係者も大いに期待しておりまして、これを起爆剤に県内子牛市場を活性化させ、「おおいた豊後牛」の生産振興につなげていきたいというふうに考えております。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 まずは、「平福安」の誕生、まことにおめでとうございます。

 久住の畜産試験部に行っては、もっと農家の皆さんがつけたくなるような待機表をつくってくれよという願いをいつも申しておったんですけれども、少しずつですが、前に進んでおるというのを実感しております。

 また、増頭計画の中に草地の有効活用というのがございました。

 肉用牛農家の経営状況を見ますと、生産規模の拡大に伴って省力化、効率化を進める余り、購入飼料に依存する経営が増加しております。

 先日、ある生産者から、「子牛の発育もよくなり、値段も高くなったが、放牧をしているときより、もうけが少なくなった」という話を伺いました。

 県は、もうかる農業の実現を目指しております。そのためには、子牛を高く売ることはもちろんですが、あわせて、諸経費の大きな割合を占める飼料費を軽減するため、低コストの飼料を安定的に生産する技術の普及があわせて重要であります。

 未利用、あるいは低利用の状態にある草地や転作田などの有効的な活用など、自給飼料の確保対策を今後どのように進めていこうとされているのか、お伺いします。

○田中利明副議長 工藤農林水産部長。

◎工藤利明農林水産部長 自給飼料対策についてお答えをいたします。

 現状、肉用牛繁殖経営におきまして、子牛一頭当たり生産費の約三分の一を占める飼料費の低減が経営の安定化のために大変重要な課題であります。

 県では、これまで、広大な草地を改良した共同利用牧野を初め、クヌギ林や耕作放棄地などでのおおいた型放牧の推進、さらには、水田を活用した稲発酵粗飼料などの生産拡大や耕畜連携のかなめとなるコントラクターへの収穫機などの導入を支援してまいりました。

 また、県内で排出される焼酎かすなどを活用して製造する飼料の研究開発、普及にも、農林水産研究指導センター畜産研究部を中心に取り組んでいるところであります。

 放牧では、農家や飼養頭数の減少などによって遊休化した改良草地の有効利用を支援するなど、引き続きおおいた型放牧を推進してまいります。

 水田では、国の米政策の見直しで増産が見込まれます稲発酵粗飼料や飼料用米による飼料自給力の強化に取り組むとともに、より安くて使いやすい飼料の開発などを進め、肉用牛農家の経営安定に努めていきたいと考えております。

 以上です。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 県の今後の流れ、また、国の流れというのはわかりました。しかし、この大分県、やはり中山間地域でございます。シイタケと一緒に牛を飼っていて、米もつくってと、いろんな複合経営でやっているところもございます。そこを強化して、もうかる農業にしていくというのも、私、研究してみる価値はあると思っております。ぜひともその辺も検討しながら、今後の畜産の振興に努めていただければと思っております。

 最後に、障害者福祉について、三点伺います。

 まず初めは、特別な支援を必要とする児童の保育についてです。

 国内では、最近の少子化の潮流の中、児童が減少傾向にある一方で、特別な支援を要する子供は、逆に年々ふえており、県内でも、また、竹田市でも同様の状況が見られます。

 保育園に通う子供たちの中にも、障害があったり、あるいは、そう思われる園児も少なからず含まれているのが実情であり、それぞれの子供たちの状況に応じた保育を提供したいという声をしばしば保育園の運営者からお聞きします。つまり、現状では、その子たちそれぞれに適した保育がなかなかできていないという現状がございます。

 本県では、犬飼にある発達障害者支援センター「イコール」で養成した支援専門員を保育所に派遣して、発達障害児の保育に関する相談、指導を行っていますが、このような外部からの支援だけでは、保育所のスタッフに障害児に対する専門的な保育スキルが根づかないことも一方で懸念されます。

 そこで、県内の保育所において発達障害児の保育にかかわる専門的なスキルやノウハウを広く定着させていくために、県としてどのように支援をしていくのか、お伺いします。

○田中利明副議長 平原福祉保健部長。

◎平原健史福祉保健部長 発達障害児の保育についてお答えをいたします。

 現在、保育所には、発達障害児を初め、ネグレクトが疑われる要保護児童や生活困窮家庭の児童など、特別な配慮を有する児童が多く通園をしております。

 このうち、発達障害児への支援といたしましては、これまで、議員ご指摘の発達障害者支援専門員の派遣のほか、専門の機関が保育所を訪問し、保育所職員や児童へのアドバイスを行ってきたところであります。

 一方、核家族化の進行や地域コミュニティーの希薄化等により地域の子育て力が低下する中で、子育ての専門機関である保育所の役割はますます重要となっていると認識をしております。

 このため、医療、保健等に精通した専門的保育士を養成し、発達障害を含めた特別な配慮が必要な児童や家庭に応じた専門的な支援を行うとともに、医療機関など関係機関と連携して適切な時期に適切な支援につなげられるようにするなど、保育所の機能強化を推進していきたいと考えております。以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 ありがとうございました。

 再質問を二つさせていただきたいと思います。

 特別な配慮や支援を要する幼児や家族に対して、学校の就学前、就学中、それから卒業後と、それぞれのライフステージを見通した保育や教育計画をつくって支援をするべきだと私は考えております。こういうことをしようと思ったら、一体どこがやるのか、それについてお伺いします。

 それから、幼稚園と小学校の連携の中で、今、大分県では、五歳児健診の結果を個人ファイルにして幼稚園から小学校に受け渡すようになっておりますが、保育園ではどうなっているのか。また、三歳児健診している自治体もあります。三歳児健診の結果はどうなっているのかについてお伺いします。

○田中利明副議長 平原福祉保健部長。

◎平原健史福祉保健部長 お答えをいたします。

 特別な配慮や支援を要する発達障害児等に対し、お子さんの個別の支援計画を作成することは重要だと考えております。

 計画の策定は、保護者の意向を最大限に尊重しつつ、日々、お子さんに接している保育所や幼稚園、小学校等、それぞれの機関において策定するものと考えております。

 議員ご指摘のように、ライフステージを通じた支援を行うためには、この各機関が作成した計画の情報を共有し、支援を引き継いでいくことが重要だと思っております。

 現在、市町村に対して、こうした情報をまとめたファイルの活用を呼びかけているところでありますが、今後は保育所に対しても、ファイルの活用を直接呼びかけていくこととしたいと思います。

 また、三歳児健診において障害の疑いがある児童が見つかった際にも、五歳児健診と同様に、ファイルを活用して、福祉、保健、教育各関係機関がいち早く連携して支援に当たるよう市町村に働きかけてまいりたいと思います。以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 さまざまな課題はありますが、それを解決しようとしているのはわかります。その計画も保育園や幼稚園や学校でというんですが、さてそれで先生方ができるのかどうかということです。

 先日、厚労省の村木厚子事務次官と話をしました。発達障害児の支援について、こう話されました。「ある発達障害児が学校の廊下を走っていた。そのとき、何と指導するか。廊下を走ってはいけませんではありません。廊下は歩きましょうと指導します。そのときに最も大事なのが、その子に寄り添いながらという態度、姿勢です」と言うんです。やはり、障害者とその家族に接するときにどういう接し方をしているのかというところがとても大事だと思っております。

 県は、発達障害者支援センターで専門支援員を養成して、その専門員が保育所に行って相談指導して、専門的な技術や方法を保育所に定着させると言っておるんですが、そのときに、障害の専門家でない保育園のスタッフがきちんと障害を理解して寄り添ってあげる余裕があるのかどうかというところが問題です。

 また、そもそも障害のある児童が特別な支援を受けるためには、まず、保護者が自分の子供に障害があることを受け入れることが前提となりますが、現実には、そう簡単に割り切れない親の思いもあります。そして、本来、特別支援を要する子供たちに適切な保育がなされず、問題を潜在化させている一因となっているんではないでしょうか。

 保護者が自分の子供の障害にいち早く気づき、支援策を受け入れるために、どのような啓発が効果的と考えているのか、お伺いします。

○田中利明副議長 平原福祉保健部長。

◎平原健史福祉保健部長 保護者への啓発についてお答えいたします。

 保護者に対しましては、これまでにも、パンフレットや講演会等を通じて、発達障害の特徴や支援内容などを周知するとともに、専門の医師や作業療法士等が保健所で巡回療育相談に応じることなどにより、障害を早期に発見することに努めてまいりました。

 また、特に障害に気がつきにくい発達障害につきましては、昨年度から、市町村が実施する五歳児健診や発達相談会に専門医を派遣し、発達障害の早期発見、診断体制の整備を進めているところです。

 こうした中で、障害が発見された児童の保護者に対しましては、保護者が障害を受け入れ、療育の必要性について理解してもらえるよう、保健師による相談や療育機関への紹介を行うとともに、必要に応じて発達障害者支援専門員を派遣して丁寧な説明を行っているところであります。

 今後はさらに、保育士の専門性を高める取り組みを通じまして、保育所における保護者への支援も強化していきたいと思っております。以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 親が子供の障害を受け入れるというその現場に、私は人をつけていただきたいと思っております。ここでも指摘しておきたいのは、支援をする人が、本当に障害者とその家族に寄り添っていけるかどうかというところではないかと思います。診断や相談結果から自分の子に障害があるかもしれないと告げられる親、特に母親です。そのときに、私は、カウンセラーがかかわってあげることが有効ではないかと考えます。それも、寄り添ってあげられる仲間のような、決して、私は違うけれども、あなたはそうよという思いを読み取られるようなカウンセラーではだめです。同じ立場に立って、一緒に悩み、一緒に解決策を探してくれる方がそばにいることがとても有意義に思えます。そして、その方と障害について語り、今できることを考え、これからについて計画することができたらすばらしいんではないかと思いますが、カウンセラーというよりコーディネーターです。こういう仕組みを保育期に構築することがとても大事だと思いますが、その辺のお考えをお聞かせください。

○田中利明副議長 平原福祉保健部長。

◎平原健史福祉保健部長 保護者や子供さんたちに対する支援について、寄り添って支援をしていくということは大変大事なことだというふうに思います。

 今お答えしましたように、市町村の保健師さんとか発達障害の支援専門員さんが支援をしておりますけれども、そういった気持ちで接しているというふうに思います。

 また、保育所におきましても、保育所の保育指針というのがありますけれども、「子育て等に関する相談や助言に当たっては、保護者の気持ちを受けとめ、相互の信頼関係を基本に、保護者一人一人の自己決定を尊重すること」ということで、基本的に、今、議員おっしゃられたように、寄り添いながら支援をしていくということがうたわれておりまして、基本として身につけていると思いますけれども、県といたしましては、そうした人材を、さらに研修を通じて、資質の向上、維持に努めていきたいというふうに思っております。 以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 知識は身につきますが、なかなかその心というのは育っていくのが難しいというか、その辺も含めて研修されて、ぜひとも支える体制をつくっていただきたいと思いますし、今後もそういったコーディネーター等の仕組みがつくれないのか、協議をしてまいりたいと思います。

 さらには、県内市町村では、障害児保育に対応する保育士の加配に対する補助金を交付しておりますが、調べてみますと、特別児童扶養手当を受給する障害児のみを対象とする場合や、障害があると思われる子にも支援対象を拡大していたり、あるいは、実際に障害児を保育する体制を整えた保育所を自治体が支援していたり、実は、その助成の内容はさまざまです。私は、このような自治体間の差をなくして、障害を持っていると思われる子供に等しく支援が行き渡るようにすべきだと考えます。

 このような状況を踏まえ、障害児保育における支援のあり方について、県内各自治体に改善を働きかける必要はないのか、県の見解をお聞かせください。

○田中利明副議長 平原福祉保健部長。

◎平原健史福祉保健部長 お答えをいたします。

 保育所における障害児保育については、ご指摘のとおり、市町村によって対象児童の範囲や補助の要件等が異なっているのが現状でございます。

 県では、毎年、市町村の担当係長会議を開催していますけれども、その中で障害児保育について情報交換を行っているところです。これにより、ほかの市町村の取り組み状況やその工夫を参考として、障害児保育の対象児童の範囲拡大や新たな実施について検討を始めた市町村も出てきているところでございます。

 県としても、障害児保育の推進は大変重要であると考えておりまして、今後とも、こうした市町村間の情報交換を促進するとともに、県の方からも先進事例を紹介するなどして、市町村の取り組みを支援してまいりたいと思っております。 以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 各自治体間の情報交換、とても大切なことですので、よろしくお願いいたします。

 次に、歯科診療について質問します。

 歯と口の健康を守っていくには、なるべく通いやすいかかりつけの歯科医がいることが大切です。しかしながら、障害のある方々の歯科診療には、専門的な知識や技術に加え、全身麻酔等の特殊な設備が必要になるため、障害の程度によっては診療可能な歯科医療機関が極めて限定されます。

 障害児者の場合、痛みをうまく訴えることができずに、虫歯や歯周病がかなり進行しても見つかりにくいケースが大半です。また、仮に早目に検知できたとしても、自分の口のあけ方をコントロールできなかったり、知的障害のため、歯科治療に対する恐怖心から口をあけることさえ拒むなど、健常者には想像しがたい多くの問題を抱えております。

 本県では、このような問題を抱えた障害児者の歯科治療が可能な医療機関は十三カ所ありますが、全身麻酔の設備を有するのは別府発達医療センターのみであります。しかも、県内ではたった一名の専門歯科医が孤軍奮闘しているのが実情です。このため、県内の障害児者は、虫歯の治療をしたくても、センターの予約が恒常的にとりづらく、いざ治療ができるようになったときには既に虫歯が進行しています。

 現在、県では、障害者の方々に歯科診療についてのアンケートを実施しているようですが、まず、その結果についてお聞かせください。また、県は、障害児者の歯科診療の現状をどうとらえ、今後どのような改善策を講じようとしているのか、あわせてお聞かせください。

○田中利明副議長 平原福祉保健部長。

◎平原健史福祉保健部長 お答えをいたします。

 県ではこれまでも、地域で障害者の歯科診療が受けられるよう、協力医として百八名を養成してまいりました。しかし、議員ご指摘のように、障害児者の歯科治療については多くの課題があり、具体的な施策の参考とするため、障害児者の治療実態や要望等を把握するアンケート調査を実施したところであります。

 現在集約中でありますけれども、例えば、「近くで歯科治療を受けたい」、あるいは「障害について理解のある歯科医師がふえてほしい」といった意見や要望が寄せられているところであります。

 県といたしましては、こうしたことも踏まえまして、県歯科医師会と連携して、障害児者の治療ができる歯科医師をふやすための研修を引き続き実施するとともに、施設における定期歯科健診体制の整備や特別支援学校等におけるフッ化物洗口等の予防処置にも力を入れていきたいと考えております。

 さらに、全身麻酔を含む、より高次な治療について、歯科外来を有する病院等へ働きかけてまいりたいと思っております。 以上でございます。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 大分県の障害児者の歯科診療は、実際、九州一悪いのが現状です。

 別府発達医療センターが障害のある方の歯科診療を受け入れようと大分療育クリニックをつくりましたが、実は、中を見てみますと、毎年、大赤字でございます。これは、患者がいないからなのではなくて、治療にコストと時間がかかるためです。

 また、大分県の障害児歯科学会の認定医は、先ほど私が言いましたように、たったの一名です。福岡県には五十四名の皆さんが活躍してくれております。また、大分には、この認定医をとるための研修機関さえないという実情があります。ぜひとも、この現状を変えていただきたい。

 一般の歯科の先生方、当然、地域の皆さんを見守る必要もございますし、そこでコストと時間のかかる障害児をどのようにして受け入れるかというのは大きな問題になると思いますので、その辺をしっかりと研究して、今後の方針を立てていただければと思っております。

 それでは、最後の質問でございます。

 私は、昨年の第四回定例会の一般質問で、障害者総合支援法で規定する障害福祉サービスのうち就労移行支援事業と就労継続支援事業を行う社会福祉法人は自動車税が免除されている、しかし、一方で、同じ事業を実施するNPO法人には自動車税が課税されている、これ、何とかしてくださいと問いました。答弁では、研究させてくださいということだったので、その後、一年たったわけですが、NPO法人との協働を積極的に推進している県、ぜひともこの問題解決に向けて、どういう対応を考えているのか、改めてお伺いしたいと思います。

○田中利明副議長 島田総務部長。

◎島田勝則総務部長 社会福祉法人等に対する自動車税の課税免除について、昨年の第四回定例会に引き続いてご質問をいただきました。

 従来から、障害福祉関係の事業のうち、原則として、利用者保護の必要性の高い第一種社会福祉事業を行う法人に限って自動車税を課税免除してきたところであります。

 ただし、平成十八年度の制度改正前から課税免除の対象であった就労移行支援事業、それから就労継続支援事業、この二つを社会福祉法人が行う場合に限って、例外的に、第二種社会福祉事業を行う場合であっても、引き続き課税免除の対象としているところであります。

 しかしながら、議員ご指摘のとおり、現状では、同じ事業を行っているにもかかわらず、社会福祉法人とNPO法人等との間に取り扱いの差が生じております。

 そこで、検討の結果、公平性の観点から見直すことといたしました。

 具体的には、就労移行支援事業または就労継続支援事業を行う法人のうちNPO法人などの非営利法人についても、平成二十六年度、新年度分から自動車税の課税免除の対象にしたいと考えております。

○田中利明副議長 土居昌弘君。

◆土居昌弘議員 まことにありがとうございます。

 一年前に私が指摘した課題に、関係部局が連携して解決に向けて真摯に取り組んでいただいた結果だと思っております。県のこういう姿勢は、新しい公共を築いていこうと思えば、大変心強いものだと思っておりますので、重ねてですが、感謝申し上げます。

 さて、今回の質問の最後に、一言、ヨーロッパでの政策調査について報告させていただきます。

 精神保健先進国イタリアは、日本の、そして大分県の現状から見れば異次元のものでした。

 イタリアでは、一九七八年に法百八十号ができました。この精神病院をなくすという法律によってイタリアは、二十世紀の終わりまでにすべての精神病院を閉じたのです。そして、精神病院のかわりに公的地域精神保健サービス網を全土にしきました。

 私たち議員団は、ローマ市の精神保健局を訪ね、精神科医のラウラ・トトネリさんにその実情を伺い、地域精神保健サービスの仕組みや患者の方々の暮らし方などを知って、私たちの目指すべき社会が今ここにあると、身震いをしながら深く学んだ次第です。

 地域の中で、精神はもちろん、すべての障害者や認知症の患者も、ともに暮らせる社会、これを築いていく上でとても参考になりましたし、このことを県政に生かしていけるよう、引き続き提言していきたいと考えております。

 海外調査という貴重な機会を与えられましたことに深く感謝し、その成果を県政に十分に反映できるよう精進し続けたいと心底から誓って、今回の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)